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ストーリー

美しき出会い 知られざる東欧の旅
7 旅の終わり~新しいドイツへ

元モンティ・パイソンのメンバー、マイケル・ペイリンが案内する「Michael Palin's Travel」シリーズ。 第7話では、スロバキアとチェコ、そしてドイツを案内していく。
ヨーロッパ統一という流れのなか、分断の道を選んだスロバキアとチェコ。西側ではもう見られない古き良き風習と、新しい技術や文化が混在する様を伝える。旧東ドイツでは、第二次世界大戦と冷戦下で国民を抑圧した、ナチスと秘密警察シュタージの爪痕を追う。旅の最後の地、バルト海の海岸でマイケルは、「軍力ではなく、民力でヨーロッパがひとつになる時代がきた」と訴える。

 最後の旅はスロバキアのタトラ山脈に始まり、チェコを経てドイツ東部に入る。そこからエルバ川沿いにバルト海を目指し、終点はバルト沿岸のリューゲン島である。
マイケルはタトラの山村で豚の解体を手伝い、ソーセージ作りに挑戦。やがて、飲めや歌えやの宴会が始まる。古い歌が残るこの村にも近代化の波が押し寄せつつある。
続いてチェコ入りしたマイケルは、第二の都市ブルノのパントマイム養成学校で「雄鶏」を演じた後、ゲーテも訪れたという歴史ある温泉町カルロビ・バリで、ミス・ワールドとともに高級エステ体験をし、ホテルの舞踏会に紛れ込む。首都プラハでは、女性コーラスグループの一員、バラと水上自転車をこいで有名なチャールズ・ブリッジをくぐった後、列車で巡業に向かうバラのグループに同行し、車内の即興コンサートを楽しむ。
 その後、舞台は一転して第二次世界大戦中にゲットーとなった町・テレジンに移る。マイケルは、アウシュビッツやドレスデンの空襲を生き抜いた女性・リーザとともに、ナチスが大虐殺の事実を隠すために製作した宣伝映画を見て、当時の話を聞く。二次大戦と冷戦の後、ドイツのドレスデンはすっかり復興を遂げた。共産党時代は瓦礫のままだった聖母教会も再建され、観光の目玉となっている。とはいえ現地の学生と話をしたマイケルは、東西の隔たりが本当になくなるのは次世代以降のことだと痛感する。
 さて、今度は蒸気船に乗ってエルバ川をくだり、磁器の町マイセンへ。ところがマイケルは、有名な置物ではなくドイツ特有の便器のデザインに興味津々。商業の町ライプチヒでは、東ドイツ時代から密かに風刺劇を上演してきたカバレットで、当時の雰囲気を体験する。演じ手のギュンターは、秘密警察シュタージに監視されていた経歴を持つ。現在は博物館となっている国家保安省の建物は、人々を震撼させた権力の源にしては殺風景だった。かつての東ドイツを巡る旅の終点では、冷戦の最前線に配備されたロシア製戦車T55の教習を受ける。思い通りにならない操縦に、消沈気味のマイケル。
打って変わってベルリンでは、オープンカーに"後ろ向きに"乗り、数百メートルだけ残るベルリンの壁を見る。後部座席では、オラフとヨーグの二人組が、旧東西ベルリンを象徴するキャラクターに扮して二人芝居を演じる。統一後のベルリンでは孤独感に苛まされる人が多く、笑いの教室なるものが登場した。マイケルも教室で大いに笑う。
最後は、ベルリン空輸作戦に使われた軍機DC-3に乗り、ヒトラーの志なかばで頓挫した、バルト海沿岸のリューゲン島にある巨大リゾート施設を空から眺める。