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ストーリー

サハラの旅~100日間の砂漠紀行 4 ジブラルタルへの帰路

イギリスの人気コメディー番組「モンティ・パイソン」のメンバーの1人、マイケル・ペイリンがサハラ一周を目指すシリーズ最終夜。旅も終盤を迎え、ペイリンはアルジェリアから、終着点のジブラルタルを目指す。
10年に及ぶ内戦で国家情勢が不安定なアルジェリア。ニジェールとの国境近くにあるホガール山地は、めったに人が訪れないためほとんど手付かずで美しい景観が残されている。その別世界のような景色を、3000メートルの山頂から楽しめる。また、ボディーガードなしでは街を歩くことができないアルジェでは、厳戒な警備体制が敷かれる中、ペイリンが旧市街・カスバを散策する。狭い路地が迷路のように入り組んだカスバは、治安の問題から外国人の旅行者が入るのは難しい。そのため、普段は見られないカスバのモスクなどは必見である。情勢が不安的なアルジェリアであるが、街の雰囲気はとても友好的だ。
100日間に及ぶサハラ一周の旅を終えたペイリン。出発前と同じ景色を眺めながら、海の向こうに広がる世界に少し近づいたことを実感する。ペイリンの旅は追うごとに、見ている側の世界も少しずつ広がってゆくことだろう。

ニジェールとアルジェリアの国境に到達したペイリンが、国境を超えて初めに向かったのは、ホガール山地。映画「ロード・オブ・ザ・リング」の世界に出てくるような景色を楽しみ、人の手に触れられていない壮大な景色を堪能する。その後、東の隣国・リビアへ入ると、そのまま北上して地中海沿岸を目指す。あとはひたすら西へ進み、ジブラルタルへと戻る。リビアでは、キレーネやレプティスマグナなどのローマ遺跡を訪れ、アフリカとヨーロッパが一つにつながっていた時代に思いを馳せる。その後、チュニジアを経て、再びアルジェリアへ。旅もいよいよ終盤であるが、ここからが一番危険な旅となる。
アルジェリアでは1992年以来、イスラム過激派グループによるテロが活発化し、国内情勢が悪化している。危険な情勢にあるとはいえ、ペイリンが見たものは、人々の普通の暮らしと、フレンドリーな国民たちの姿であった。最後は、アルジェリア第二の都市・オランから、スペイン領セウタを通ってジブラルタルへと帰る。セウタには、アフリカからヨーロッパへの移住を試みる人々が集まっていた。移住許可が降りずにボートで海へと繰り出し、荒波で命を落とすアフリカ人がたくさんいることを知り、ペイリンはひとりジブラルタルを渡った後も、彼らの存在を忘れることができなかった。ジブラルタルがいかに狭き門であるのかを痛感。そして、大切なのは門を閉めようとすることよりも、旅で出会った豊かなサハラの文化をもっと知ることだと感じる。出発前は砂地の他に何も思い浮かばなかったサハラ砂漠は、豊かな文化に彩られた鮮やかな風景へと変わったのである。