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野生のホッキョクグマに密着!―母と子の1年を追う―
3 秋から冬へ
9月、ゴードン・ブキャナンとプロジェクトチームは、ライラとミキの様子を見にスバールバル諸島に戻ってきた。7月に離れてから6週間、彼らが生きているかさえわからない状況だ。というのも、ライラの首輪の発信器が壊れたようで、1か月間情報が途絶えていたのだ。
捜索は困難を極めるかに思えたが、ゴードンたちはライラを発見する。ミキも一緒だ。しかし食べ物が少なく、コケや海藻くらいしか食べていないライラはやせ細り衰弱していた。ある日、ゴードンはライラがプラスチック製の浮きを食べているのを目撃する。人間が船から海へ捨て、島に流れ着いたものだ。空腹のあまりそんなものまで口にしたライラを思い、ゴードンは心を痛める。
ライラの状態は日に日に悪くなり、ミルクも出なくなりつつあるようだった。ミキがミルクを求めてライラの方に近寄っていくと、ライラはミキを避けるように移動したのだ。観察を続けて以来、初めてのことだった。
その後、悪天候で数日間船から降りられないでいると、ライラ親子は移動してしまっていた。ゴードンたちが探しながらボートを進めていると、ある小屋と柱のある島を発見する。その柱は、かつて行われていたホッキョクグマ猟のために使われていた。柱の上にはエサの入ったワナが仕掛けてあり、食べ物につられて近寄ってきたホッキョクグマを捕まえるというものだ。猟が行われたせいでホッキョクグマは絶滅の危機に陥ったこともあったが、今ではスバールバル諸島では全面的に禁止されている。
ゴードンたちは捜索を続け、元いた島に戻っていたライラ親子を発見。しかしライラの様子がいつもと違い、ゴードンのことを獲物だと思っているように近づいてくる。飢えがライラをそうさせたのだ。
温暖化の進む北極での生活は厳しくなるばかりだが、それでもライラは1年を生き抜いた。ゴードンは、ライラがミキを無事に育てあげることを願い、別れを告げるのだった。