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野生のホッキョクグマに密着!―母と子の1年を追う― 1 春
北極を象徴する動物、ホッキョクグマ。しかし近年、北極は深刻な事態を迎えていた。暖冬により、氷のとけるスピードが早まっているのだ。氷が減ると、獲物であるアザラシも減り、ホッキョクグマは飢えてしまう。
観察が難しいホッキョクグマは、実はいまだに謎の多い動物でもある。気候の変動が、実際、彼らにどのような影響を与えているのか?
野生動物カメラマンのゴードン・ブキャナンとホッキョクグマの専門家、ジェイソン・ロバーツは、野生のホッキョクグマの親子を追いかけることにする。向かったのは、ノルウェー北方に浮かぶスバールバル諸島のエッジ島。ホッキョクグマがたくさん生息している島だ。
4月は例年なら海氷に覆われている季節だが、この年は異常な暖冬で氷が少なかった。ゴードンたちは島の近くまで船で進み、途中からスノーモービルに乗ってホッキョクグマの巣穴を探す。ようやく見つけた巣穴の中には、母親と2頭の子グマがいた。ゴードンたちは母親をライラ、子供たちをミキとルカと名付ける。
子グマたちが巣から旅立つのを待つ間、ゴードンはホッキョクグマを近くから撮影するための秘密兵器を試すことにした。透明な強化プラスチック製の防護用ケージ、「アイスキューブ」だ。「アイスキューブ」の中に入ったゴードンの匂いをかぎつけて、さっそく大きなホッキョクグマがやってきた。ホッキョクグマはゴードンをエサだと思い、何とか中に入ろうとする。襲いかかるホッキョクグマはすごい迫力だった。
巣穴を見つけてから4日目に、ライラ親子はついに巣を離れた。ゴードンたちは麻酔銃でライラを眠らせ、体重や身長を計測し、発信器付きの首輪をつける。その信号でこれからライラ親子を追うことができるのだ。ゴードンは眠っているホッキョクグマを間近から観察することができた。目を覚ましたライラたちは、獲物がいる氷の上へと旅立って行くのだった。