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知られざるイヌの生態に迫る!
1万2千年以上にわたり、人類と共に暮らしてきたイヌ。人類の最も親しい友人であり、日常生活の一部となっている。しかし、人間は一体どのくらいイヌのことを理解しているのだろうか。イヌの祖先がどのように人間と共存したか、真剣に研究されるようになったのは1960年代以降のことだという。よく知っているようで、実は謎が多いイヌの生態。その起源やこれまでの進化を探りながら、イヌと人間の関係を解明する。
私たち人間と暮らすイヌは、進化の過程でオオカミから分かれた動物と考えられている。しかし古代の人々は、なぜ野生のオオカミに近づくことができたのだろうか。科学者たちは、イヌの起源であるオオカミがどのように人間社会に溶けこんだのかを明らかにしようと、野犬の行動に注目してきた。野犬は人間の食べ残しをあさり、人間の周辺で活動する。人間に対する恐怖心を克服したオオカミは、獲物を狩るよりも、食べ残しをあさる暮らしの方が楽なことに気づいたのではないだろうか。これが、オオカミと人間が共存するきっかけだと推測される。
こうして人間は、特におとなしいオオカミの子孫を増やすことでイヌの進化に関わってきた。人間による繁殖でイヌは従順な性格になったが、その一方で、人間が必死に守ってきたオオカミの特性も残っている。それは、オオカミが持つ「脚力」と「嗅覚」。イヌに仕事をさせるため、彼らの能力を向上させてきたことで、多くの犬種が誕生したのだ。例えば、フランス原産の中型犬バセットハウンドは優れた嗅覚を持つ猟犬。複数をまとめて飼育すると声をそろえて一斉に吠える習性があり、これはオオカミが群れで遠吠えするのと同じ行動と考えられる。ほかにも、アルプスの遭難救助犬やカナダの犬ぞりチームのハスキーたちなど、さまざまな役割を担う職業犬がいる。
多くの野生動物が絶滅の危機にあるなか、イヌは人間と共に驚くべき進化を遂げた。人間とイヌの歴史、そしてその関係を研究することで、イヌとどう向きあうべきかを検証する。