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神秘の惑星~地球の秘密 4 海
私たちの星、地球。この宇宙でもたぐい稀なる惑星は、45億年の歳月をかけ、地表の景色を変え続け、生命を育んできた。
このシリーズでは、地質学者のイアン・スチュワートが、地球を形作った自然の力を4つの切り口から紹介する。第4話のテーマは、「海」。
海は、荒々しい力で海岸線を刻み、エネルギーを地球全体に移動させ、地球の姿と気候を変えてきた。また、海に生息する植物プラントンと海流のネットワークは生物の生存に欠かせないものである。それを体感するためにイアンは地中海のシチリア諸島、ニューヨーク州グリーンレイク、イタリアのドロミーティ、イギリスのシリー諸島、パラオ諸島を訪れ、岩塩採掘場のチャペル、かつて海底だった地層など興味深い映像と共に、海の現在と過去を検証する。かつて海の生物が死に絶えた時代の遺物を探索し、そこで何か起こっていたかを解き明かしていく。そして、地球のすべての生命の基盤である「海」を見つめ、未来の「海」のあり方に思いをめぐらす。
地球の4分の3を覆う海は、40億年の間存在し、海岸線を削り、気候を変動させ、生命の運命を左右してきた。
海には、エネルギーを捕らえ、保存し、伝え続ける力がある。風の力によって波が生まれ、月の引力が潮を満ち引きさせる。
まずイアン・スチュアートはハワイの海を訪れ、波の構造を解説し、海がどのようにして誕生したかを分かりやすく説明する。
誕生以来、大陸の移動にともない、姿を変え続けてきた海。600万年前には、地中海が蒸発したこともあった。この劇的な出来事の痕跡をシチリア島の地下500メートルの所で見ることができる。岩塩採掘場を訪れたイアンは、地中海が干上がって出来た膨大な量の岩塩の層と、海水と地下からの熱水で結晶した石膏の洞窟を探索する。地中海の蒸発は、動物にも特有の進化を及ぼし、シチリア島で発見されたヤギほどの大きさの象の化石を紹介する。
シリー諸島では、メキシコ湾流を体感しながら、海が持つ一番大きな力、海洋大循環について解き明かす。太平洋コンベアベルトは、地球の熱を循環させ、気候に影響を与え、生命の生存に欠かせない酸素や栄養分を運んでいる。もしそれが機能しなくなれば、地球の生物はほとんど絶滅してしまうだろう。イアンは、2億5千年前に死に絶えた生物が堆積した、ドロミーティ山脈にある黒い岩の層を訪ね、かつてそれが現実だったことを実証する。
そして現在、海は新たな危機に直面している。人類が大気中に放出している大量の二酸化炭素が、水温を上昇させ、海水を酸性にしているのだ。最後に訪れたのは、その影響が顕著に見られる南太平洋のパラオ諸島。水温に敏感なクラゲや、酸性では生きていけない珊瑚が死滅の脅威に脅かされている。また生命の源で、酸素を作り出している植物プラントンも酸性に弱く、海の健康は著しく損なわれている。
そんな地球の「海」をみつめたイアンは「人間と海の闘いで、人間が勝つことはない」と語る。
人類にとって、「海」の健康を保つことは、重要な課題なのだ。