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ライオン・知られざる生態 群れの謎
野生のネコ科の動物の中で唯一、群れで暮らすライオン。動物学者のジョナサン・スコットが、なぜライオンだけが群れで暮らすのか、その謎に迫る。
ジョナサンは、タンザニアのセレンゲティ国立公園で“セレンゲティ・ライオン・プロジェクト”を指揮するクレイグ・パッカー教授のもとを訪れ、彼の見解を聞く。さらに、群れが長く繁栄するためには、獲物が豊富な地域に縄張りを持ち、その縄張りを維持していくのが不可欠だということも明らかにしていく。
動物学者のジョナサン・スコットは、今から30年以上前に初めてケニアのマサイマラ国立保護区を訪れて以来、“マーシュ・プライド”と呼ばれるライオンの群れの観察を続けている。ジョナサンは、ネコ科の動物の中で、なぜライオンだけが群れで暮らすのか、その謎を解き明かしていく。
協力者となったのは、タンザニアのセレンゲティ国立公園で、“セレンゲティ・ライオン・プロジェクト”を指揮するクレイグ・パッカー教授。クレイグは28の群れを対象に、ライオンが群れを作る理由だとされるさまざまな仮説を検証した。
これまで、ライオンが群れを作るのは集団で狩りをした方が有利だからだと考えられてきた。しかし、クレイグの研究によれば、単独でも集団でも狩りの成功率はあまり変わらない。また、群れだと大型の獲物を狙えるが、皆で肉を分けあわなければならず、リスクを冒してまでも大きな獲物を狩る必要があるとも考えられる。
ライオンには、よそ者のオスがやってきて群れの子供を殺すという習性がある。ジョナサンは、「子供が殺されるのを防ぐために群れを作る」という可能性も考えるが、群れを作らないヒョウやトラにも同じ習性が見られることから、それはライオンだけが群れで暮らす理由にはならないと話す。
一方、クレイグは、ライオンの縄張りに目を向けた。ライオンは、縄張りを守るとき、最も団結力を発揮するからだ。クレイグは、28の群れの繁殖率を地図上に表した。すると、川の合流点を中心とした縄張りで暮らす群れの繁殖率が非常に高いことがわかった。川の合流点は1年を通して水や食料が手に入る一等地なのだ。しかし、単独ではその縄張りを守れないため、ライオンは、親子で協力して縄張りを守るようになった。それが、群れで暮らす習性を身につけた最大の理由だったのである。