BBC地球伝説

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ストーリー

NASA・宇宙への挑戦
Episode1 人類、初の領域へ

1958年7月、宇宙探索と科学発見の未来を切り開く組織として政府によって創設されたアメリカ航空宇宙局、NASA(the National Aeronautics and Space Administration)の歴史と、これまでの宇宙への挑戦を、全4回で紹介するシリーズ。第一夜は、NASAがロケット打ち上げの試行錯誤を繰り返した後、初の有人宇宙飛行であるジェミニ計画で輝かしい成果をあげ、大きく前進を遂げる過程を追う。宇宙開発に必要な人間の資質、それはあらゆる困難な状況を乗り越えようとする不屈の力だった。
冷戦時代に誕生したNASAは、全米から最高の技術者と優秀なパイロットを集めて、米ソ超大国間の宇宙開発競争へと挑んだ。すべてが人類初めての試みの中で、多くの失敗を重ねながらも、NASAは宇宙への第一歩を踏み出すことに成功する。そして、人類を月へ送るという壮大な夢を実現するために、さらなる挑戦を続けていく。宇宙遊泳や無重力空間での長期滞在、宇宙船同士のドッキングなど、今日の宇宙開発を支える基本技術が次々と実現されていった。その陰には、あらゆる困難に挑み続けたNASAの技術者と、危険に立ち向かっていった宇宙飛行士たちの存在があった。彼らの努力と勇気は人類初の月面着陸という夢を実現可能なものへと変えていった。

1961年、大西洋上の空母のデッキから多くの兵士たちが、上空から帰還する宇宙船を見つめていた。ソ連との宇宙開発競争で常にリードされていたアメリカ航空宇宙局、NASAは、ついにアラン・シェパードのアメリカ初の有人宇宙飛行によって、ソ連に追いついた。
そんな喜びもつかの間。当時のケネディ大統領の思いもよらぬ演説により、NASAはさらなる苦境に立たされることになった。「今後10年以内に人間を月に着陸させ、無事に帰還させる」。まだ夢物語でしかなかった"月面着陸"という無謀とも言える目標が、NASAに突きつけられたのだ。
しかし、NASAの技術者と宇宙飛行士たちの努力と勇気により、月面着陸に必要な技術である宇宙遊泳や無重力空間での長期滞在などを次々と達成。中でも最も重要な技術であった、宇宙空間で宇宙船同士をつなぎ合わせるドッキングを成功させるため、宇宙飛行士ニール・アームストロングは地上290Km上空で自分の宇宙船を操り、ドッキングは見事に成功。誰もが人類初の偉業に歓喜したその時、宇宙船が原因不明の回転を始め、どんどん加速していった。回転は毎秒360度を超え、このままでは強い遠心力により、意識を失ってしまう。アームストロングは冷静に、再突入ロケットを逆噴射させて何とか回転を制御することに成功した。この事件は、NASAにとって宇宙空間で初めて遭遇した事故だったが、それと同時に、後に人類で初めて月面に足跡を残すことになるニール・アームストロングという宇宙飛行士を見いだした運命的瞬間でもあった。