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ストーリー

プレデターX―最強の肉食恐竜を追え!
後編 生態の解明

2007年。オスロ大学自然史博物館の古生物学者、ヨルン・フールム博士は、ノルウェー領のスバールバル諸島で、いくつかの骨のかけらを発見。それを持ち帰って分析したところ、なんと1億4700万年前のものだと判明した。フールム博士はその骨が巨大な生物の骨格の一部だと直感、再びスバールバル諸島へ発掘に向かうことを決意する。
翌年の2008年。調査チームと共にスバールバル諸島を訪れたフールム博士は、見事、ジュラ紀の海を支配した巨大な肉食恐竜"プレデターX"の化石を掘り当てた。
後編では現代の肉食動物との比較によって、"プレデターX"の行動が解き明かされていく。調査チームは、頭骨をCTスキャナーにかけ脳を画像化した。それにより"プレデターX"がホオジロザメと同様、視覚に頼る動物だったことが判明。フールム博士は、南アフリカの海でホオジロザメのダイナミックな狩りの仕方を観察し、さらにフロリダでワニが物をかむ力を計測する。世界を股にかけた科学調査によって、"プレデターX"の強大なパワーやどう猛さが明らかになっていく。

海の爬虫(はちゅう)類の専門家、パトリック・ドルッケンミラー博士は、イギリスのレーシングカー工場に出向き、"プレデターX"と近縁の種の頭骨をCTスキャナーにかける。画像化された脳は全身に比べるとごく小さく、ホオジロザメと同様に視覚を処理する領域が比較的大きかった。これにより"プレデターX"とホオジロザメは、深海で待ち伏せ、頭上の獲物を襲うという同じ狩りの仕方をしていた可能性が浮上する。
フールム博士はホオジロザメを観察するため、南アフリカにあるサメの研究所に赴く。海洋科学者のライアン・ジョンソンの案内で海に出たフールム博士は、水面から躍り上がるようにしてオットセイを狩るサメを目撃。同じやり方で狩りをする"プレデターX"を頭に描く。 続いてフールム博士はフロリダ州のワニ園を訪ね、進化生物学者のグレゴリー・エリクソン博士と共にワニを解剖。首の両側の翼突筋(よくとつきん)と呼ばれる筋肉が、ワニの強力なアゴの力の源泉だと知る。また、エリクソン博士は様々な大きさのワニがどれだけの強さで物をかむのかを計測。その数値を元に、"プレデターX"が獲物をかむ力を割り出した。ワニの最大が860キロだったのに対し、"プレデターX"は1万5000キロと予測される。これはティラノサウルスと比べても4倍、最大級のホオジロザメの10倍だ。
オーストラリアからはプリオサウルス類の一種、クロノサウルスの化石の画像が届けられた。その腹の中にはプレシオサウルス類の残骸が残っている。"プレデターX"が大型のプレシオサウルス類を狩ったことの傍証となるものだ。
"プレデターX"が絶滅して1億5000万年、彼らのパワーや体重をしのぐ海のハンターはいまだ現れていない。