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タイムマシン 地球再発見 ~時空を超える旅~
第2回 生物と時間
過去から未来までを旅し、時間の流れを自由自在に操って、地球上で起こっているさまざまな現象や生き物の営みを再発見するシリーズ。第2回である今夜は、生き物にとっての時間とは何なのかを探る。
今作も、CGを駆使して、生き物の進化や成長、さまざまな営みをリアルに再現している。ジュウシチネンゼミが、1952年、69年、86年、2003年の世界に現れる様子を再現した映像は、風俗の変遷も伝えていて興味深い。セイヨウイチイの1600年にわたる成長を再現した映像では、イギリスの歴史をかいま見ることができる。時間を縮めてみることで、普段は目にすることができない進化の過程も目の当たりにすることができるのだ。ハチドリのくちばしがピノキオの鼻のように伸びていくさまは、おもしろい。
さまざまな生物の一生を観察していると、そのライフスタイル(とりわけ生殖活動)に見合った寿命を持っていることがわかってくる。同じように太陽、あるいは月のリズムに従って暮らしていても、それぞれの生物にとっての時間というものは、まったく違うのだ。
ハツカネズミの寿命はわずか2年程度なのに、ホッキョククジラは200年近くも生きることができる。それぞれの動物の寿命は、確実に子孫を残せる長さになっているようだ。
多くの動物や植物は、太陽のリズムに従って暮らしているが、中には月のリズムに従っているものもいる。群れで暮らすミナミコメツキガニカニは、月のリズムが引き起こす潮の満ち干が生死の鍵を握っているため、月のリズムに合わせた正確な体内時計を持っている。
1日のリズムだけではなく、季節ごとのリズムに従って暮らす動物もいる。カリブーの群れは、毎年夏の間、カナダの草原で子育てをし、秋になると南へと旅立ち、必ず6月までに戻ってきて、一斉に出産する。
もっと長いリズムを守っている動物もいる。アメリカには、17年ごとに一斉に現れるセミがいる。17年ごとにしか現れないのは、鳥やネコなどに餌として認識されないようにという彼らの戦略だ。
過去にさかのぼって、時間を早回しして現在まで戻ってくれば、ハチドリのくちばしが長く進化した理由や、セイヨウイチイの木が1600年も生きられる秘密が明かされる。
それぞれの生き物は時間に支配されているが、生命が35億年も生き延びてきたのは、生命のしたたかさが時間の支配を超越しているからである。