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ストーリー

環太平洋火山の旅~大地の歴史をさぐる~
3 ペルー

地質学者イアン・スチュアートが、火山や地震の多い環太平洋地域を旅して、大地がどのように人間の歴史・文化を方向づけてきたか、さまざまな謎を解き明かしていくシリーズ。
イアン・スチュワートは、岩石が人類の歴史において大きな役目を果たしていたと考えている。今回彼は、アンデス山脈に抱かれたペルーに渡り、厳しい大地にも関わらず繁栄を遂げたインカ帝国の謎に迫る。さらに、インカの人々がどうやって岩の多い地域を操り、大勢の国民の為の食料を手に入れたかを明らかにする。

イアン・スチュワートが、地球で最も厳しい地域で、インカ帝国がどうやって繁栄を遂げたのかを明らかにする。ペルーの文化と歴史は、コロンビアからケープホーンまでを結ぶ全長6000キロメートルのアンデス山脈によって支配されている。22000フィートを越えるこの山脈には、世界32種類の気候のうち28種類があり、世界で最も湿った場所と乾燥した場所の両方が存在している。
アメリカ大陸で最初の文明は、農業に頼らず、ナスカプレートと南アメリカプレートがぶつかったことでできた冷たいフンボルト海流での漁業に頼っていた。この独特な気候によって、自給自足ができる場所はなく、貿易や領土拡大でインカ帝国となった。しかし、エルニーニョ現象や500年ぶりの地震や火山の爆発が起き、さらには金を求めてやってきたたった183人のスペインの征服者によって、200万人のインカ帝国の人々は滅ぼされてしまう。15~16世紀初頭にかけて南米で広大な領土を誇ったインカ帝国の人々は、アンデス地方の地質学的特徴をよく理解し、国の繁栄のために知恵を絞った。沿岸漁業だけではエルニーニョ現象の年に食料不足になることから、彼らは農業も行った。そびえる山で農業を行うにあたって、彼らは高度別に様々な種類の作物を植え、安定した収穫を目指した。余剰作物は倉庫で保管され、それを全土に届けるための道も作り、伝令を使って情報の伝達も行った。さらにモライ遺跡には、インカの人々が農業実験を行っていた跡まで残されている。
しかし、火山帯であるこの地で避けられないのが地震であった。その最大の被害は、1970年に起きたマグニチュード7.8を記録した地震で、ユンガイの街は土砂崩れによって丸ごと消失してしまった。インカ帝国の人々は地震から身を守るために、建物作りを工夫し、繁栄を遂げたのだった。
だが、そんなアンデスの大地の恵みである金を狙い、フランシスコ・ピサロが侵略し、インカ帝国は滅びてしまう。番組では最後にマチュピチュを訪れる。まだ多くの謎に包まれているインカの遺跡は、当時の人々がこの土地を崇拝していたことを示している。