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ストーリー

追跡!ホホジロザメ イギリスにジョーズ出現?

イギリスの海で、ホホジロザメが目撃されているという。それは本当にホホジロザメなのか。それとも、何か別のサメなのか。ホホジロザメがイギリスに来るための、方法、動機、機会はあるのか。案内役のスティーブ・レオナルドが、目撃証言と専門家の見解を交えながらその答えを探る。

 イギリス、コーンウォール州最大の魚市場には、サメの姿が見られる。だが、これまでイギリスでホホジロザメを目撃した人はいなかった。
 ヘブリジーズ諸島付近でシュノーケラーの近くを泳ぐサメを見た人は不安に襲われたが、残された記録映像から、そのサメはホホジロザメではなくウバザメだったことが分かった。だが、ウバザメの性質とは異なる攻撃的な大型のサメの姿も目撃されている。それらは、ホホジロザメなのだろうか…?
 ホホジロザメは体内の熱交換システムにより、実際は冷たい海水でも体温を温かく維持できる。そのため、温暖な海だけでなく、水温の低い海にも生息できる。ウラプールでダイビングをしていたダイバーたちは、目撃したサメはホホジロザメだと確信している。ほかに目撃情報に一致するサメがいないかを確かめるため、スティーブはロンドンの自然史博物館に向かう。ホホジロザメの近い親戚にあたるネズミザメとアオザメは、目撃情報の大きさよりもずっと小さく、残された可能性はホホジロザメだけ。イギリス沿岸に来るための動機はあるのだろうか。
 イギリスにはアザラシの大繁殖地があり、これはホホジロザメがイギリスにやって来るための格好の動機になる。サメを目撃した翌日、噛み切られたアザラシの死骸を目撃した人や、サメのいた海面にアザラシの死骸を目撃した人もいる。
 スティーブは、傷ついたアザラシの模型を手に、サメの専門家イアン・ファーガソンに意見を求める。ファーガソンは、アザラシの傷はホホジロザメによる可能性があることを示唆する。  では、ホホジロザメがイギリスの海に来る機会はあるのか。南アフリカ沿岸で活動する野生動物保護協会の調査によると、ホホジロザメは片道1万キロ以上という長距離を往復できることが分かった。地中海にも生息するホホジロザメがイギリスにやって来るのは、可能なのではないか。
 イアン・ファーガソンの意見では、ホホジロザメがイギリスの海に現れても不思議ではないという。ただ、必要なのは証拠で、不可解なのは「ホホジロザメはここにいるのか」ではなく、「なぜホホジロザメはここにいないのか」である。  いずれにしても、ホホジロザメは個体数が減少し続けており、イギリスの海岸で出会う可能性は低いとスティーブは語る。