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頭蓋骨は語る!
~地球を征服したエイプ~
人類はほかの生物に比べて知能の発達が著しく、ある意味で選ばれた種といえる。そのため科学者たちは長年、人類はほかの動物とは異なる進化の過程から出現したものと確信していた。その中心となったのが、人類の進化は大きな脳から始まったという仮説である。この説によると、700万年前までにより大きな脳をもつ類人猿が現れ、それが人類に進化していったことになる。
70年代、ケニアで類人猿の頭蓋骨が発見された。この「14/70」(博物館の分類番号)は脳がきわめて大きかったため、人類祖先の象徴的存在と見なされた。同じ頃、300万年前の類人猿の骨がほぼ完全な状態で発見された。この「ルーシー」は14/70よりも古い320万年前の年代のものとされ、二足歩行をしていたとわかった。二足歩行のルーシーは人類の祖先であるはずだが、脳の大きさは現代人の3分の1から4分の1しかない。人類の進化が脳から始まったとすれば、祖先は大きな脳でなければならないが、14/70はルーシーより100万年以上新しく、年代が合わない。
大きな脳の仮説は覆され、人類進化における最初の鍵は二足歩行だったことが明らかになった。道具の使用が食物を手に入れる方法を広げ、よりよい食生活は脳を成長させた。脳の発達は文化とコミュニケーションを豊かにし、複雑な社会といっそう進歩した文化を生んだ。その結果、脳はさらに大きく成長していったと考えられる。
生物はさまざまな環境に適応する過程で、一つの起源から二つ以上の種に分化していく。それが、適応放散である。しかし、化石を調べるかぎり、ルーシーは適応放散なく進化したように思われた。
ところが2001年、かつてケニアで発見された類人猿の頭蓋骨から新事実が判明した。顔の骨格がルーシーとは違って現代人に近いのだ。この発見により、人類もほかの生物と同様の進化を遂げたことが明らかになった。