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古代文明のルーツを求めて 3 ギリシャ文明
私たち人類の文明はどのようにして誕生したのか――この壮大なテーマを探るため、約6000年前に最初の都市が生まれたメソポタミアから、 ローマ帝国の崩壊にいたる歴史を6章のストーリーで検証するシリーズ。考古学者であり歴史家のリチャード・マイルスが、イラク、シリア、 トルコ、北アフリカ、エジプト、パキスタンそしてヨーロッパを訪れ、古代文明の成立の過程を膨大な映像と工芸品を併せひも解いてゆく。 古代の驚異と失われた世界が、現代の文明の紛れもないルーツであることが分かる。
第3回は、一般にギリシャ文明と呼ばれる古代ギリシャ時代に隆盛したさまざまな文化。リチャード・マイルスは、この時代に花開いた大きな遺産が もつ2つの力のぶつかり合いから、現代文明への影響を探求する。アテネとスパルタ、この2大都市国家はそれぞれ異なった理論で発展・進化していった 小国都市である。この時代の勝者は誰なのか。そして現代の文明の基礎になりえた考え方とは何なのか…。
ギリシャの隆盛、つまり古代ギリシャで栄えた2つの都市国家であるスパルタとアテネを中心に発展した文明は、人類の歴史上重要な影響力を持って 現代に受け継がれている。それは政治システムと文化である。現在のギリシャ共和国の南部に位置した古代スパルタの歴史は紀元前10世紀ころから始まり、 数度の崩壊と再建を繰り返す。土地の均等分配、教育制度の拡充、装飾品の禁止、共同食事制など独自のシステムを特徴とした。
一方、紀元前6世紀ころに民主政のもとで発展したアテネは、スパルタと並ぶ巨大な都市国家。海上貿易を中心に交易都市として発展、陶器の輸出や織物の 輸入により経済的な繁栄をもたらした。両者はそれぞれの発展と戦争の中で時に勝利し、時に破れ、大きな歴史のうねりに取り込まれてゆく。芸術、哲学、 科学が花開く一方で、政治的社会的な不安定や不公平を抱える時代はまさに内圧と外圧のせめぎあいでもあった。それらは現代の文明が持つ共通の問題点、 すなわち全体主義から民主主義までといった数多くの政治体制への先べんでもあった。