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ミッシング・リンク-人類の起源を求めて
前編 4700万年前の化石
人類の進化の歴史は、化石が発見されることが少なく、その枝分かれも推測の域を出ず、あちこちで大きく途切れている。進化という鎖の輪が欠損しているわけだが、その欠けた輪にあたる存在の生き物を「ミッシング・リンク」と呼んでいる。
2006年のドイツ・ハンブルクで開かれた化石見本市に、この「ミッシング・リンク」らしい化石標本が出品された。これは原始的な霊長類と人とをつなぐ存在なのか――化石を入手したノルウェーの古生物学者、ヨルン・フールムは、様々な分野の専門家を集めた調査チームを作り、化石の分析に乗り出す。
番組では、その調査研究を時系列順に追いながら、様々な専門家の解説を交え、化石の謎を解明していく。
2006年、ドイツ・ハンブルクの化石見本市に、今まで知られている中で最も古い、そして最も骨格がそろっている4700万年前の霊長類の化石が出品された。果たしてこれは、人類の祖先なのか――オスロ大学の古生物学者、ヨルン・フールム博士は、様々な分野の優秀な研究者を集めた調査チームを作り、化石と人類のつながりの解明に乗り出した。
まず、化石の手足の構造から、この生き物が霊長類に特徴的な「物をつかむのに適した手」であることが判明し、骨盤からメスであることも分かった。"イーダ"と名づけられたこの化石の生態をさらに追及するため、調査チームはアフリカに赴き、主にチンパンジーなどの霊長類と比較対照を行なった。また、歯の構造から、"イーダ"は果物や木の葉を主食に、昆虫などを捕食していたのではないかと言う推測がなされ、消化管の内容物からやはり果物や木の葉を食べていたことが裏付けられた。
霊長類は、進化の途中で原猿類と人間につながる真猿類に枝分かれするが、"イーダ"はどちらなのか。ほとんど進化していない原猿類のキツネザルとの比較も行なわれ、体格などは酷似していた。はたして原猿類なのか…?
一方、押しつぶされた化石を、コンピューターを使って三次元に復元。精査した結果、歯が永久歯に生え変わる途中であったことが判明する。この事実から、"イーダ"は離乳して間もない、生後6ヶ月から1歳ほどであると判明した。