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ストーリー

消えたアトランティスへの扉 ~水底の古代都市ヘリケの謎

古代ギリシャ都市・ヘリケは、紀元前373年に地震と津波によって破壊され、海の底から発見されていないという。考古学者たちはアトランティス伝説と関連があるとされている失われた都市・ヘリケを探し続けてきたが、手がかりは何一つ見つかっていない。
1988年、2人の考古学者たちがこの謎に挑んだ。まずすべてのベースとなる古代の記録に戻り、それを再検証することから開始。さらに一つ一つの手がかりを繋ぎ合わせ、ついに衝撃的な結論へとたどりつく。
アトランティス伝説の謎をめぐる何千年もの歴史の中で、我々はそこに眠っているであろう類まれな富の最初の目撃者になれるのだろうか?失われた伝説の都市・ヘリケの謎に迫る。

紀元前373年の冬の夜、古代ギリシャの都市・ヘリケは、大地震と津波の猛威に襲われて消滅したといわれる。古代の書物に、海に呑み込まれた都市として書かれたヘリケは、何世紀にもわたって世界中の考古学者たちを魅了してきた。海に消えた伝説のアトランティス大陸を思わせる、幻の都市・ヘリケ。その幻が、現実のものとしてついに、私たちの前に姿を現そうとしている。
立役者はヘリケ発掘に情熱を注いだ二人の人物、ドーラ・カツォノプールウと、スティーブン・ソ ウタ。彼らは、ヘリケについて書かれた古代の記述を丁寧に読み解いていく。これまで、ヘリケが沈んでいるのは"poros"つまり、幅の狭い水路であると考えられ、コリント湾の説が有力だった。しかし、ドーラは"poros"は湾ではなく沼であるという新たな解釈をうち出す。
この解釈は、ブルネル大学のイアン・スチュワート博士によって裏付けられる。スチュワート博士は地震によって地面から水が湧き出す現象が、紀元前373年にも起こったのではないかと推察したのである。こうしてヘリケ発掘に向けたドーラ・カツォノプールウとスティーブン・ソウタの挑戦は、姿なき沼のありかを探すことから始まる。高度なテクノロジーと専門知識を用いて、かつて沼があったと思われる平野が探し出され、少しずつ、パズルの断片を組み立てていくように、ヘリケの場所が分かっていく。しかし、異なる時代の遺跡は発掘されても、ヘリケの遺跡はなかなか姿を現さない。
彼らの思いがようやく報われたのは、2001年のことだった。破壊の跡が見られる古代ギリシャの都市が発掘され、まさにヘリケが繁栄したとされる時代の貨幣や壷が出土したのだ。何千年もの間、地中に眠っていたヘリケの遺跡がついに掘り起こされた。アトランティス大陸の伝説を作ったともいわれる幻の都市の発見。ここにまたひとつ、ギリシャの神秘が解き明かされたのである。