百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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学生とつなぐ古民家の風景 ~八犬伝ゆかりの港町 千葉・館山~

今回の『百年名家』は房総半島の最南端、千葉県館山市。
一年中温暖な館山は、自然に恵まれ、地魚を使ったおいしい寿司などが味わえる「海のまち」であり、色とりどりの花々に包まれる「花のまち」でもあります。古くは、奈良時代から安房国としての交易が始まったという漁師町。また、滝沢馬琴作の「南総里見八犬伝」の舞台にもなっています。ロマン溢れる港町を八嶋さんと本上さんが巡ります。

2人が漁港を歩いていると、何やら美味しそうな香りが。惹きつけられるように向かうと・・・そこは「ふれあい市場」。新鮮な魚を求めて地元の人やプロの料理人も訪れる漁協直営市場です。中でもウツボは館山の名産品です。生のウツボの迫力に2人は興味津々。大将が早速から揚げにしてくれました。八嶋さんが食べてみると・・・、意外とおいしい!本上さんにはこの時期このお店では食する事の出来ないもう一つの名産品、豪華「伊勢海老丼」が振る舞われました。何だかやりきれない八嶋さんでした。

次に2人が向かったのは「紅屋商店」。金物商として明治時代から開業するも、大正12年の関東大震災で店舗、住宅ともに倒壊しました。その後いち早く復興し商売を再開するために店舗として活用されたのが、地震に耐えて残った蔵でした。現在の店舗は、近くにあった米屋の蔵を移築したものです。1・2階とも漆喰塗の防火扉が設けられ、震災復興期の店舗建築の特徴をあらわしています。店舗内も、昔ながらの帳場がある造りとなっています。主屋は、切妻造、木造2階建てで、2階に床・棚付の座敷があることが特徴です。昔ながらの金物に懐かしさを覚える2人でした。

街中を2人が歩いていると赤い門柱が見えてきました。ここは「赤門」と呼ばれる鈴木家の病院の門柱です。鈴木家は江戸時代に屋号を「南部屋」といい、盛岡藩の常宿を務めた家でした。明治21年に旅籠をやめ医院を始めて「赤門さん」として市民に親しまれています。お隣の主屋は横浜の建築家が設計し、関東大震災直後の大正13年に完成。和洋折衷様式の木造2階一部平屋建てで、1階中央に中廊下式のホールがあり、和風の客間・居間・仏間・台所と洋風の食堂・居間・寝室などが配置されています。2階はすべて洋風の仕上げで応接間・寝室があり正面にはポーチが設けられています。裏庭には、戦争中に掘った防空壕が残り、終戦当時の館山の様子も伺えます。実際に防空壕の中に入ってみる2人。中はひんやり真っ暗でした。

最後に2人が向かったのは案内人、岡部先生が学生とともに修復しているかやぶき民家。
学生たちは、朽ちてしまった茅の葺き替え作業に取り組むため茅葺き技術の指導者のもと、茅狩り作業から葺き替えの仕方まで、一から学んできました。今では激しくいたんでいた茅葺き屋根の修復は一先ず終わり、狩ってきた新しい茅を干している状態です。2人は学生たちとの話の中で古民家を残そうという想いは、必ずしもその地元の方々だけが頑張って受け継ぐべきではなく、心動かされた者が地元の方々と協力して活動する場合もあることを知ります。

今回の旅は古民家によってもたらされる地元の方々との交流が感じられる旅でした。