百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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積年の祈りと共に巡る街並み ~門前町の風情 千葉・成田~

新年初の『百年名家』は千葉県成田市。
成田市は江戸時代から大本山成田山新勝寺の門前町として栄えてきました。
その中でも今回取り上げる表参道「仲町」は特別です。成田山新勝寺の門前町商店街として江戸時代から現在に至るまで、「成田山参り」に訪れた人々の旅の疲れをいやす所として喜ばれてきました。
参拝客の絶えない表参道を八嶋さんと本上さんが巡ります。

最初に2人が目にしたのは旅館の看板。
実はこれ、新勝寺に参詣する団体のお得意様証明書で、「講社」と呼ばれています。
歴史ある門前町の旅館ならではの風習です。
次に訪れたのは「旅館大野屋」。なんとこの建物は現在ではめったに見ることが出来ない木造4階建て。国の登録有形文化財にもなっています。最上階にある成田山が一望できる望楼が特徴です。
ご主人の案内で早速中に入ってみると・・・。
まず目の前に広がる、長さ6間もある木が使われた上り框に驚かされます。そして客室はすべて違う造りとなっており、欄間や床の間などのこだわりは見事です。
圧巻は3階にある114畳もある大広間。欄間は黒柿。天井は檜の一枚板を使用するなど贅を尽くした造りとなっています。さらに奥には先々代が趣味で作った能舞台まであります。あまりの豪華さに圧倒された二人でした。

表参道を散策していると、何やらおいしい香りがしてきます。
次に2人が向かったのは明治43年創業の鰻専門店「川豊本店」。この建物は大正6年に建てられた旅籠屋の建物を改築したものです。店先では板長が見事な手さばきで鰻をさばいていました。鰻の大好きな八嶋さん。早速触らせてもらいましたが、なかなか掴めず悪戦苦闘。掴み方にもコツがあるそうです。
できたてのうな重を堪能し、満足げの2人。いよいよ建物を見学させてもらうことに。
そこには貴重な材質にこだわった職人の細かな技が見られました。

最後にやってきたのは創業350年、江戸時代から続く老舗の漢方薬局「一粒丸 三橋薬局」。
成田山参詣した人々が旅の疲れで体の具合が悪くなったときに、利用した薬局です。
明治3年の大火後に、3年の月日を掛けて再建した建物は、火に強い黒漆喰の土蔵造り。国の登録有形文化財になっています。
天皇御用達の証、菊の御紋の入った塗箱や嵯峨御所御用の札など由緒正しき品々を拝見させていただきました。

今回の旅は先人達の造り上げたこだわりを後世に残そうとする人々の心意気が伝わる旅でした。