三菱UFJニコス MUFG CARD Presents 五嶋みどりがバッハを弾いた夏・2012

三菱UFJニコス MUFG CARD Presents 五嶋みどりがバッハを弾いた夏・2012

放送内容



バイオリニスト、五嶋みどり。
1982年に11歳の若さでデビューを果たして以来、世界の第一線で活躍し続け、国際的に最も有名で評価の高い日本人バイオリニストと言えよう。
2012年夏、その五嶋が日本全国の寺院・神社・教会など“祈りの地”を訪れ、バッハの名曲を演奏するというデビュー30周年記念ツアーを行った。
演奏するのはJ・S・バッハ「無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータ」。
完璧なテクニックと作品への深い理解が求められる作品で、“バイオリニストのバイブル”と評されることもしばしば。難曲中の難曲を携えて、五嶋はそれぞれの“祈りの地”でどのような演奏をするのだろうか。

ツアー初日。
最初の会場は、長崎県の五島列島にある青砂ヶ浦天主堂だ。離島である五島列島では、生のクラシック音楽に触れる機会がほとんどない。
そんな場所を世界的バイオリニストが訪れると聞きつけて、数多くの島民が駆けつけた。
教会に響くバイオリンの音色。
老人から幼い子どもまで、幸福な思いを抱く夜となった。

この全国ツアーで特筆すべきは、会場の素晴らしさ。
たとえば京都の西本願寺対面所は国宝に指定されており、普段は公開されていない。
対面所の前にある能舞台は豊臣秀吉が能を愛でるために造らせたもので、ここでコンサートが開かれるのはもちろん初めてのこと。演奏者が五嶋みどりということで、特別に許可が下りたのだ。
そして平泉会場は、世界遺産に認定された中尊寺に決定。
ほかにも太宰府天満宮など、会場はどこも歴史があり非常に美しい場所ばかりだ。バッハの旋律と、セミの声や雨の音が溶け合い、まるで二重奏のように一体となって聴く者を魅了する。



五嶋みどりは多忙な毎日を送る。
大学教授(南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校弦楽学部学部長)としての仕事、音楽による社会貢献活動(さまざまな国・施設・学校に「本物の音楽」を届ける活動)、半年先のコンサートで演奏する曲の練習、テレビ局や雑誌の取材…。
時差のある相手とのやりとりも多く、ツアー中であっても寝る暇がないほどだ。

五嶋がデビューしたのは11歳だったが、意外にも、バイオリニストとして生きていくことを決意したのは20代後半のこと。
高価なものを身にまとい、ぜいたくな食事をするという一般的なバイオリニストのイメージと、自分の理想とする音楽家像とのギャップに悩んでいたそうだ。
いかに生きるべきか―。
五嶋が出した答えは、「私は、自分の道を歩む」だった。“祈りの地”を巡るツアーに同行し、彼女の活動や生活ぶりの裏に隠された思い、そして天才バイオリニストの素顔を描き出す。

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