ワイルドネイチャー いきもの大紀行
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BBCスペシャル
ヒマラヤの大自然とインドに生きるベンガルトラ
前半は、ヒマラヤの大自然にスポットを当てる。
地球上で最も巨大な山脈ヒマラヤ。この場所は、実に多くの生物を育んできた場所。
季節の移り変わりと共に、西から東に向かって進む撮影の旅。そのスタート地点となる冬のパキスタンでは、撮影が困難だと言われるユキヒョウや、オオカミ、イヌワシなど、貴重な野生動物たちに出会う。
やがて春が訪れると、パキスタンの東では、草花を食べるサルやジャコウジカが現れ、クレオパトラの時代から香水として人類に愛されてきたジャコウジカの香りが漂う。やがて撮影カメラはインドに入り、気流を利用しエベレストの上空を飛び越える、インドガンの生態に迫る。そして、鳥たちの姿を追いながらチベットへ…。
アジアを流れる4つの主要な河の源流地点となっている高原地帯では、様々な哺乳類たちが活動期に入り、狩りや縄張り争いが繰り広げられる。
ヒマラヤの、豊かな大自然、その恩恵を受ける様々な生物や人類の文化を貴重な映像とともに紹介しながら、自然と文明の関わり、野生動物たちの生態をに迫る。
そして後半は、力強い姿が多くの人々を魅了し、いつしか“トラの女王”と呼ばれるようになったベンガルトラ、「マッチェリ」の闘いと愛に満ちた成長の物語。
インド北西部のランタンボール国立公園で、絶滅の危機にあるベンガルトラが住む「トラの王国」を、長年にわたり治めてきたメスのトラがいる。その名は「マッチェリ」。
3姉妹の1頭として育ったマッチェリは、当時「湖の貴婦人」と呼ばれ、湖畔を治めていた母親に襲いかかるものの、返り討ちにあってしまう。その後、幾度となく闘いを挑み、ついに、親離れして間もなくの若さで母親から縄張りを手に入れる。
次にマッチェリが目指すもの、それは優秀な子孫を残すこと。オス2頭の子供を産み、若いながら母親としても、すばらしい子育ての才能を持っていた。子供たちにエサを食べさせるため、必要に迫られ、いつしか巨大なワニを襲えるほどの狩りの名人へと成長していた。
さらに時は流れ、9頭もの子供を生み育てて王国を治めてきたマッチェリにも、いよいよ縄張りを明け渡す時がやってくる。娘との戦いに負けた後、湖から去り、穏やかで威厳ある最期を迎えることになる。