ワイルドネイチャー いきもの大紀行

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アフリカ 大サバンナの貴公子
チーター 愛と命の物語

動物園の飼育員として30年以上、数多くの動物に接してきたという経歴を持つ動物写真家の中西安男さん。今回、中西さんが追い求めるのは、“草原の貴公子”といわれるチーターです。全身の構造が「速く走る」ことを可能にしています。ハンティングの際には、たった2秒で時速72キロメートルに達し、およそ200メートルを約7秒で疾走。時速約104キロメートルに相当するスピードです。中西さんは、獲物を求めて草原を疾走するチーターの美しい姿を求め、ケニアでは野生のチーターの生態を、ナミビアではチーターが直面している現状をレポート。さらには地上最速の動物であるチーターに秘められた、驚異の走りのメカニズムにも迫ります!


ケニア マサイマラ国立保護区

はじめに向かうのは、ケニアのマサイマラ国立保護区。 南タンザニアのセレゲンティー国立公園と国境線で隣接し、野生動物の数の多さではケニア国内では第一の地区です。面積は1,840k㎡で、大阪府とほぼ同じ広さ。灌木の多い他の公園と違い、見渡す限りの大草原が広がり、サバンナには数万頭のヌーや数千頭のシマウマ、ガゼル、バッファローなどの大群が見られます。こうした草食動物が多いため、ケニア最大のライオンの生息地でもあり、もちろんチーターとの遭遇率もかなり高い土地。中西さんは、そこで、獲物のガゼルを仕留めたチーターに遭遇。木に登ったり、母子でじゃれあうチーターの微笑ましい姿にも出会います。さらに妊娠中と思しきメスを目撃。なんと土を食べているではありませんか!一体何のため?野生のチーターが垣間見せる、その驚きの生態を取材。


世界最大のチーター生息地 ナミビア

続いて向かったナミビアは、世界最大のチーター生息域といわれています。しかし、その生存数は年々減少。国の発展に伴ってチーターの個体数は過去10年で半減し、2,500頭を下回っているとされています。チーターが絶滅に瀕している原因には、生息地の減少、農業や開発から受ける被害、農民による家畜を殺す害獣として駆除されたり、密猟などの違法な捕獲が挙げられます。そのため、ここナミビアには、傷ついたり、孤児になったチーター達を保護するための施設「チーターファーム」があります。中西さんは、ローリー・マーカー博士が創設したCCF(Cheetah Conservation Found)を訪ね、その保護活動を間近に取材。これまでヤギなどの家畜を襲うとして、多くのチーターが殺されて来ました。これを防ぐため、CCFでは大型の牧羊犬を飼育・訓練し、農場へ貸出すことでチーターとの無駄な摩擦を避けているのです。施設内のチーターの検診や運動不足解消のためのチーターラン、生態系を守ることの重要性を説く教育プログラムにも参加。そして長寿のチーターの最期の瞬間に、中西さんの飼育員時代の記憶が優しく重なります。さらには野生に返したチーターの追跡に同行。GPSで2年前に放したチーターを追います。そこにはアフリカの大地で逞しく生き抜く、野生のチーターの姿がありました。