トウキョウ タイムレスデザイン総集編
(9月11日(木)・9月18日(木))
今回は「トウキョウ・タイムレス・デザイン」総集編。コモエスタ八重樫の独断と偏見で、これまで訪れた全18のモダン建築の中から、『劇場』、『学校』、『オフィスビル』、『住宅』、『喫茶店』などのジャンル別に、“最もキテる建物”をセレクト。コモエスタ八重樫が東京に今も残るモダン建築への熱い思い、名だたる建築家たちの卓越した技の魅力を語りながら、東京文化会館やビラビアンカ、アテネフランセなど、時間を越えて愛される建築物を再び紹介。
- 東京文化会館
上野公園に位置する「東京文化会館」。東京開都500年の記念事業として、1961年に建設された本格的なオペラ劇場と小ホール、音楽資料室などからなる文化施設。設計したのは、ル・コルビュジエの元で学び、モダニズム建築の旗手として第二次世界大戦後の日本建築界をリードした前川國男。コンクリートと打ち込みレンガタイルが用いられた外壁、アートを思わせるホール内部の音響壁面や螺旋階段など、前川國男のデザイン・エッセンスが込められた秀逸な建築物。
- ビラビアンカ
渋谷区神宮前の明治通りぞいに位置するマンション「ビラ・ビアンカ」。1964年、東京オリンピック開催の熱狂の中で完成し、デザイナーズマンションの先駆けと言われるヴィンテージ・マンション。住戸を無造作に積み上げたような建物が雁行して立っている姿は迫力そのもの。コンクリート打ち放しの壁面とアルミ素材の窓は、1964年に完成したとは思えない、新鮮かつモダンなデザイン。居住スペースには、当時設置された「ロケットキッチン」と呼ばれる対面式キッチンや、ベランダを利用した坪庭なども現存。
- 目黒区総合庁舎
中目黒に位置する目黒区総合庁舎。1966年に完成した旧千代田生命本社ビルを、2003年に目黒区が買い取り、改修。区役所が入った公共の施設ながら、文化的価値の高いモダン建築としても親しまれている。設計を手がけたのは、日本現代建築の巨頭・村野藤吾。「鉛筆を握りながらこの世を去った」という逸話がある、生涯現役を貫き通した村野が残した傑作。モダニズムと日本の侘びが共存する空間が広がる。
- 早稲田大学 大久保キャンパス
全13棟の建物が配置された構内では、学生たちが数学、応用化学、建築学などの理工学を学ぶ。中でも、大学創立80周年を記念し、1962年から5年がかりで作られた51号館は、日本建築学会賞を受賞したほどの優れたモダン建築として知られる。市松模様にブレースを配置したファサードや、花火のように放射状に広がる蛍光灯など、いたるところにミッドセンチュリーなモダンデザインが残る。
- 東京カテドラル聖マリア大聖堂
1964年に完成した東京カテドラル聖マリア大聖堂。設計は、東京オリンピック国立屋内総合競技場で知られる、丹下健三。銀色に輝くステンレスの外装は、キリストの光をイメージ。39mもの高さがある天井と、迫りくるかのように湾曲したコンクリートの壁が劇的な印象を与える礼拝堂は圧巻。直線と曲線を組み合わせて設計された、戦後最高の教会建築と言われている。
- パレスサイド・ビルディング
オフィス街・千代田区一ツ橋に位置するパレスサイドビルディング。銀座の三愛ドリームセンターなどで知られる建築家・林昌二の設計により1966年に完成。対角線上に配置された2つの白いエレベーター棟が印象的な外観には、ガラスのカーテンウォールを設置。大きな穴がくりぬかれた大理石の壁、近未来的な円形のエレベーターホール、浮かぶようにデザインされた地下へと続くメタリックな階段など、機能性を兼ね備えたデザインと技術は、日本の現代建築に多大な影響を与えてきた。
- 喫茶店ストーン
石を使ったデザインが印象的な喫茶店・ストーン。店名は、オーナーの実家が石材店だったことに由来。店の中には世界を代表するインテリアデザイナー、剣持勇が手がけた椅子が贅沢に並ぶ。1966年にオープンした有楽町店。“石のショールーム”を兼ねて設計された店内には、“石”をモチーフにした洗練されたデザインが散りばめられている。大手町店は1970年のオープン、変わらぬモダンデザインが今も訪れる人を楽しませる。
- 日生劇場
日比谷公園からほど近い日生劇場。戦後日本を代表する建築家・村野藤吾の設計により、1963年に完成。古典主義時代の洋風建築をイメージさせる石造りの外装、真紅の絨毯が敷き詰められたホワイエ、海底神殿のような雰囲気のホールなど、当時流行していたモダン建築とは一風変わったスタイルのデザインが数多く散りばめられた建物。