特等展望!ヨーロッパ鉄道紀行

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放送内容

スウェーデン・ノルウェー:鉱石鉄道

スウェーデン最北部、北極圏より150キロ北に位置する町キルナ。世界有数の鉄鉱石の産地として有名です。今回は、この地で採れた鉄鉱石を運搬するために100年以上前に敷設された「鉱石鉄道」に乗って、ノルウェー北部の港町ナルヴィクへと向かいます。
旅の出発地キルナは、かつては先住民族のサーミ人がトナカイの遊牧などをしながら生活をしていた地域でした。街を象徴する市庁舎や教会の独特の建築様式にも、その影響は表れています。また、北極圏ならではのアイスホテルもこの町の見どころのひとつ。建物から家具調度に至るまで、全てのものが氷で作られた夢のようなホテルです。
キルナの町を見て回ったら、スカンディナビアの大自然を駆ける列車に乗って、いよいよ旅のスタートです。キルナ駅を発った列車は、まずスウェーデンの国営鉱山企業LKABの車両基地を通ります。ここで、採掘された鉄鉱石を積み、港町まで運びます。
この地で鉱石が発見されたのは17世紀までさかのぼります。しかし、極寒のこの地から鉱石を運ぶには、トナカイで狭い小道と通り、荒れた川を船で下るなど、大きな困難が伴いました。そのため、19世紀末には早くも鉱山と港を結ぶ鉄道の建設が計画されました。厳しい環境のなかに、数多くの橋やトンネル、雪崩防護壁などを設置しながら、少しずつ線路が敷設されていきました。こうした努力の結果、現在では毎日数百トンもの鉱石が運搬され、港から世界中へと届けられるようになったのです。
北極圏の大地を走る列車から見える風景は、銀世界そのもの。線路を横切る野生のトナカイ、凍りついた広大な湖など、幻想的な風景が広がります。まもなくノルウェー側に入ると、周りの風景にも変化が現れます。山々の景色はより荒々しく、眼下にはフィヨルドが広がります。
キルナを発ってから約3時間。ようやく旅の終着地ナルヴィクに到着します。開通当時は小さな集落だったこの地も、今では北極圏以北の重要な不凍港として栄えてきました。旅を共にしてきた鉱石とも、ここでお別れです。
スカンディナビアの壮大な景色と、キルナ鉱山の開発の歴史に触れる旅をお楽しみください。