辰巳琢郎の家物語 リモデル★きらり
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マンションの真ん中にコアを造った月島の家

中央区月島。もんじゃ焼きのお店が軒を連ね、下町風情が残るこの街にも、近年は高層マンションが建ちはじめ、その景観はずいぶんと様変わりしつつあります。
今回訪ねるのは、そんな月島に建つ築28年のマンションの一室です。隅田川に面し、勝鬨橋を見下ろす絶好のロケーションを誇るこの部屋で暮らすのは、Sさんご夫妻とかわいいワンちゃん。奥様が独身時代から暮らしていたこの部屋で新婚生活をスタートさせたお二人ですが、当初から間取りについて不満を抱えていたそうです。例えば、部屋が細かく仕切られていること。風通しが悪く、その壁に遮られて隅田川を眺められる部屋が限られていたのです。また、家の中には物が多く、二人で暮らすには収納の問題を解決しなければいけませんでした。そこでSさんご夫妻は、奥様が以前から温めていたプランをベースに、いつも隅田川の景色をみていたいというご主人の希望を取り入れて、リモデルすることにしたのです。家の真ん中に「コア」を造り、ご夫妻それぞれの好みや生活習慣を大切にしながら、愛犬と共に快適に、機能的に暮らせる家に生まれかわりました。
マンション特有の長方形の間取りをしたS邸。以前は家の真中を貫く廊下の左右に、部屋が細かく分かれていましたが、今回のリモデルでは家の中央に水まわりと寝室を設け、それらを囲む様に、玄関からリビングまで伸びる左右二本の廊下を設けました。左側の廊下は、洗濯機置き場やキッチンなどの家事動線が集められた奥様のスペースに、そして右側の廊下はご主人の書斎スペースとクローゼットになっています。左右それぞれにお二人の個性がでた二本の廊下は、いずれも壁が全て収納になっており、生活動線を整理するだけでなく、抜群の収納力も確保しました。
かつては寝室とリビングに分かれていた家の南側は、その壁を取り払い、燦々と陽光が降り注ぐ大きなリビングになりました。そこに置かれたソファからは勝鬨橋をくぐる船の往来を眺めることができ、ニューヨーク暮らしの長かったご主人にとっては、ハドソン川を思い出すお気に入りの場所になりました。同じ景色をキッチンからも楽しむ事ができ、奥様もつい作業の手を止めて窓の外に見入ってしまうんだそうです。
家の中央にある寝室は、床を上げて畳を敷き、その下を大容量の収納にして大きな箱のようなデザインに。水まわりと合わせ、生活のコアとなるこの寝室からは、まるで舞台の上から見下ろすように、リビングとはひと味違った隅田川の表情を楽しむことが出来ます。
高層ビル群に夕日が沈み、ライトアップされた勝鬨橋を屋形船の赤い提灯が通り抜ける。そんな夜景を眺めながら二人でゆっくり寛ぐのも、リモデルだからこそできる贅沢ですね。

設計担当:エトラデザイン
http://www.etladesign.jp/

 
 
 
 

【平面図】

■1階

Before

After

Before After