辰巳琢郎の家物語 リモデル★きらり
  • トップページ
  • バックナンバー
  • contents3
  • contents4

バックナンバー

四つのピラミッド天井を持つツーバイフォーの家

東京都練馬区の石神井公園は、武蔵野台地からの湧水が流れる都会のオアシスです。四季を問わず野鳥が飛び交う緑豊かな園内では、多くの人々が思い思いの時間を満喫しています。
今回訪ねるのは、そんな石神井公園の近くに建つお宅。こちらにお住まいのZさんご夫妻は、4歳のお子さんと三人で都内の賃貸マンションで暮らしていましたが、共働きのためお子さんの世話をみるのが大変でした。そこで奥様の親世帯との同居を検討し、物件探しをはじめました。そこで見つけたのが、二世帯住宅用として建てられたこの家でした。親世帯用と子世帯用に別れた2つの玄関があるこの家を購入したZさんは、1階はご両親の住まいに、そして2階はリモデルをしてご自身たちの住居にすることにしたのです。ワンルームのような間取りにしたかったというご夫妻でしたが、リモデルを前に、大きな問題にぶつかりました。購入した家はツーバイフォー工法という、壁で構造を支える造りだったため、間取りの変更が難しくワンルームにするのは難しい物件だったのです。そこでZさんは建築家に相談。すると、壁はそのまま残し、天井を介して各部屋をつなげ、ワンルームのような空間を実現するという、驚きのアイデアを提案されました。そんな大胆な発想をかたちにし、ツーバイフォーの新たな可能性を引き出したお宅をご紹介します。
間取り変更の難しいツーバイフォー工法で建てられたZ邸。子世帯専用の玄関から2階に上がると、そこには部屋全体が白で統一された、洗練された空間が広がります。天井に視線を上げると、なんとピラミッドのような四角錐のかたちをした天井が部屋同士をつないでいるのです。壁で構造を支えるツーバイフォー工法のため取り払うことの出来る壁には制限があるので、5つの部屋に分かれてはいますが、それらの部屋を跨ぐように4つのピラミッド天井を張りました。天井と壁の隙間からは光や音が通り、白い天井には家族の陰が反射してその気配を感じさせてくれます。壁で仕切られていながらもワンルームのようにつながった空間が実現されました。
また、取り払えない壁も、その一部に開口部を設けて視線が抜けるようにし、別の部屋にいてもコミュニケーションが取れるようにしました。開口には扉も設置され、それを閉めれば独立した空間になるので、プライバシーや断熱性も確保できます。
元気一杯に家中を駆け回るお子さんも、新しい家はとてもお気に入りのよう。空間をつなぐピラミッド天井が、家族のつながりも一層強いものにしてくれたようです。

 

設計担当:htmn
http://www.htmn.jp/

 
 
 
 

【平面図】

■2階

Before

After

Before After