建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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広島平和記念資料館
広島平和記念資料館は、広島市平和記念公園の中心施設であり、北に向かい原爆死没者慰霊碑、原爆ドームが一直線に並ぶ位置に建設されている。被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真や資料を収集、展示すると共に、被爆前後の歩みなどを紹介している。建物は東西約82m、南北約18mの2階建(一部3階)である。昭和24年(1949)懸賞募集で一等入選した丹下健三ら4名の案によリ、丹下健三が実設計をした。鉄筋コンクリート造で、特異な断面形状をもつ柱10本を弓形に2列配列した構造とし、2階の南北面には繊細な縦ルーバーを建て込み、日本的性格を付与している。ピロティの造形やルーバーの意匠などに建築的特徴がよく示されている。国際的に高い評価を受けた最初の戦後建築であり、丹下健三の出発点となる建築として重要である。