建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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旧高松宮翁島別邸(福島県迎賓館)

旧松本家住宅)

大正天皇第三皇子・高松宮宣仁親王(やかまつのみや のぶひと しんのう)殿下が、妃殿下・喜久子様の母方の祖母にあたる有栖川宮威仁親王(ありすがわのみや たけひと しんのう)妃・慰子(やすこ)殿下が御還暦近いことを気遣われ、御保養のために建築されたもの。既にあった「天鏡閣」の南方位300mの一段低い地に、自然石を基礎とし自然の景観を庭園に見立てた純日本風の佇まいを有する別邸を1年余りの歳月をかけて完成させた。木造平屋建て(178坪)、江戸時代の上層貴族住宅、上層武家住宅の姿を伝えており、妃殿下のご安息所に相応しい典雅にして格調高いものになっている。慰子(やすこ)妃殿下は、3か月余り避暑期間を御静養されたが、翌年6月、60歳で薨去(こうきょ)された。江戸時代初期に創立された有栖川宮家は、その歴史に幕を閉じた。その後は、昭和天皇、今上天皇(きんじょうてんのう・現在の天皇)をはじめ多くの皇族が訪れ皇室歴史に深く関わり現在に至っている。