建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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三井本館

三井本館

鉄骨構造4階建の旧三井本館が、大正12年(1923)関東大震災により類焼。アメリカ型の設計・建築システムの導入により、日本の建築技術の向上発展に寄与することを狙いに、設計を米国「トローブリッジ&リヴィングストン事務所」、施行に米国「ジェームズ・スチュアート社」を採用した。デザインコンセプトは「壮麗、品位、簡素」を掲げ、関東大震災の2倍の規模にも耐えられることを設計方針とした。近代化した建築方式の導入で、6年かかるといわれた工期を2年8カ月で完成させた。新古典主義様式の外観、イタリア・ヴェネティア産大理石などが使用されている。総事業費は2,131万円で、当時の一般的なビル建築費の10倍の単価であった。大正15年(1926)起工、昭和4年(1929)竣工、開館。当時三井信託銀行(現・三井住友信託銀行)のモスラー社製地下大金庫の重量(50t)が重量制限で日本橋の通行が認められず、船で新常葉橋まで運び陸揚げしたというエピソードもある。