建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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旧青木家那須別邸
旧青木家那須別邸は、外交官・青木周蔵の大農場の農場管理を兼ねた別荘。明治時代の殖産興業政策に基づき那須野ヶ原に明治14年(1881)開いた農場。中央棟は明治21年竣工。設計はドイツの建築を我国に紹介した松ヶ崎萬長(まつがさきつむなが)である。その東西に接続する附属棟、東棟及び西棟は明治42年の増築で、中央棟屋上の物見台もこの時の設置である。内部も階段ホールなどの空間構成が優れており、鱗形のスレートで覆われた外壁に特色がある。構造面では、軸組や小屋裏の扱いなどにドイツ建築の影響が強く現れている。滞独中、青木の恩恵を受け、わが国の建築家で唯一爵位(男爵)を授けられた松ヶ崎萬長の国内で現存唯一の作品としても貴重。