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時計に感謝を・・・ (12月29日(土)放送)

番組の87回目のテーマは「時計に感謝を・・・」。
かつて人は太陽の位置で時間を知った。かつて人は月の満ち欠けで月日を知った。
自然の流れの中に時はあった。時は流れすぎていくものだった。
時計ができるまでは・・・。
一年を365日に。1日を24時間に。1時間を60分に。1分を60秒に。
あなたは今年のどの時刻に、どんなことを刻み付けただろうか。
その時あなたが見た時計は、どんな時計だっただろうか。

機械式腕時計の中でも、最高峰といわれているのが時計の国スイスで生み出されたパテックフィリップ。誕生は1839年、ジュネーブ。
創設者は亡命貴族のアントワーヌ・パテック、そして天才時計師アドリアン・フィリップ。この2人の出会いが、それまでの歴史を変える精密な機械式時計誕生のきっかけとなった。
技術においても芸術性においても最高峰の域にあるパテックフィリップはその誕生から現在に至るまで、常に世界中の顧客から賞賛を浴びてきた。
パテックフリップの顧客リストには、そうそうたる顔ぶれが、名を連ねている。
かのビクトリア女王や「嵐が丘」の作者ブロンテ、さらにキュリー夫人までも、パテックフリップの愛用者であったという。

あまたの時計メーカーの中で、なぜパテックフィリップが最高峰の時計であるといわれ続けているのか?それはこのメーカーが時計作りに、一片の妥協も許さないという事が第一にあげられる。
パテックフリップの品質検査は常識の範疇をはるかに超える。
その時間なんと600時間 ひとつの時計を作り上げるのに約9ヶ月を要するのだ。
日本のメーカーが年間100万個以上の時計を生産するのに対して パテック・フィリップでは年に3万個しか作らない。
いや、作れないのだ。

「最高の時計を最高の技術で作り上げる。それは手にした者にはわかるはず」
これが彼らの理念であり信念である。調整を怠らなければ世代を超えていつまででも受け継ぐ事のできる機械式腕時計。
パテックフィリップは、1839年の創業以来発売したすべてのモデルの修理を今も受付ている。実に160年以上前のモデルの修理を受け付けるのはパテックフリップの時計には寿命がないという自負からである。
永遠に時を刻み続ける時計。
二世紀近く前に、パテックフリップはこの夢を実現していたのだ。

スイスの時計メーカー、ウブロ。このメーカーは2006年、時計の世界にビッグバンを起こした。
従来のイメージとはまるで違う腕時計の誕生に時計業界は驚いた。新たなウブロを生み出したのは休眠状態にあったブランパンを復活させたことで知られる、ジャン・クロード・ビバーであった。 ビバーは名門ブランパン復活に続き、新たな風を呼ぶ込むためにウブロへと飛び込んだ。 そしてここでもその辣腕をふるい、見事にウブロを生まれ変わらせた。 変革をもたらしたキーワードは「フュージョン」。
それまでのウブロのイメージとビバーが考えるイメージをひとつに融合させるという事であった。このアイデアは見事に成功。ウブロはかつて無いほど大きなビッグバンを起こした。

機械式時計を愛する人たちはその時計の中にあるストーリーを愛する人たち。
だから彼らは、時計の機能を身につけるのではなく、その時計の存在感こそを身につけたいと考えている。
きたる2008年はあなたにとって、どんな年となるのだろう。
そして、その時あなたはどんな時計と共に時を刻んでいるのだろう。