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サンテグジュペリと腕時計(1) (10月20日(土)放送)

番組の77回目のテーマは「サンテグジュペリと腕時計(1)」
アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ。日本では「星の王子様」の著者として知られ、メルヘンを描く作家として思い出される。
しかしヨーロッパ・アフリカにおける彼の評価は小説家というより、むしろ飛行機乗りであり、冒険家である。

だから彼は母国フランスでは英雄。かつての50フラン紙幣の中にも彼はいた。
そしてそういう状況において、より強い魅力を放つアイテムもある。
例えばパイロットウォッチ。
限界すれすれの状況にあって、ただひとつ信頼できるもの、それがパイロットウォッチの魅力である。ここにも冒険家の魂を見る事ができる。

アフリカ大陸北西部にある国、モロッコの南部にタルファヤという小さな街がある。この町はかつてキャップジュビーと呼ばれていた。彼はここでの体験をもとに物語を書き上げる。のちに彼は大作家となるが、あくまでも彼は自分の仕事を飛行士と位置づけていた。だからこそ彼だけが描けたディティールがあった。飛行機乗りの彼だから知り得る景色があった。

パイロットを務める小説家。
パイロットを補佐する腕時計。
そのどちらにもフロンティアスピリットが感じられる。

そしてそのスピリットは、日常を生きる僕らの心を大きく惹きつける。