STYLE BOOK

「キャニオニング」 (8月11日(土)放送)

番組の67回目のテーマは「キャニオニング」。
最近、新たなアウトドアスポーツが注目を集めている。
それは「キャニオニング」だ。
流れに身をまかせ、川を下っていく。ときにカヌーのように緩やかに・・・ときにラフティングのように激しく・・・。 多くのアウトドアスポーツが、何らかの道具を必要としているのに対し、 キャニオニングには、特別な装備は何もない。頼りになるのはわが身1つ。
山と川に恵まれたこの日本ほど、キャニオニングに適した場所はない。自然を満喫しながら、川の流れと一体化して 体ごと自然と向き合ったとき、僕らは新たな世界を知るだろう。

キャニオニングとは、キャニオン、つまり渓谷を楽しむリバースポーツ。
ロープで下降したり、岩場から水面へジャンプしたり、ウォータースライダーのように滑り降りたり。泳ぐのも、ただ浮かぶのも本人の自由。

日本におけるその第一人者、マイク・ハリスは、元はラフティングのガイドだった。 豊かな水を讃えるヒマラヤの麓、ネパールはラフティングの聖地とも呼ばれる。 彼はそこで「キャニオニング」を知り、その虜となったという。 以来、世界中の様々な川を巡り、仲間を増やしながら、キャニオニングを楽しんできたという。日本には1999年にキャニオニングを持ち込み、その素晴らしさを伝えた。

初めての川には危険が伴う。川の深さ、水の流れ、川底の地形、どこにカーブがあり、どこに滝があるのか。それを自らの足で1つ1つ確かめていく。
その間、何度も下っては登り、登っては下りを繰り返しながら、1つの川をキャニオニングのコースとして開拓していくのだ。

急流を下ることだけが、キャニオニングの楽しみではない。
ゆったりと流されること。
むしろこちらの方が、キャニオニングの醍醐味なのかもしれない。 流れに逆らうことなく、ただただ流される。その瞬間、自分自身が川の一部となったような錯覚に襲われる。

キャニオニングをやってみたい。
しかし相手は大自然。初めて体験するなら、川を知り尽くしたガイドにその楽しみを教わるのが賢明な方法だろう。 関東なら、キャニオニングの第一人者、ニュージーランド人のマイクが主催する、「キャニオンズ」の体験コースから入門してみてはどうだろう。
半日コースや、1日コース、初心者コースから上級者コースまで、マイクが開拓した様々なルートを安全に楽しむことができる。
ウエットスーツなど、必要なものはすべて揃っている。特別な重装備は何もない。 体温を保持すること、そして安全を確保するためのウエアがあるだけだ。 特別なモノとしては、鼻栓がついたヘルメットと最新の、キャニオニング専用シューズ。 川底にも岩場にも対応する硬いラバーが装着されている。 さらにロープをかけるハーネスも欠かせない道具だ。これが必要なモノすべて。

水辺の遊びは数あれど、これほどダイレクトに自然と向き合えるアクティビティーが、他にあるだろうか。ボートでは決して通れない、狭い渓谷も、体1つなら通ることができる。水しぶきを受けながら、流れていく景色に僕らは何を見るのだろう。
僕らはこれまで、どんな風に川と付き合ってきただろうか。
渓流で釣りを楽しんだり、キャンプのときに水をくんだり。
僕らは常に、川を外から眺めているだけではなかっただろうか。
身体1つで水に飛び込み、その流れに身をゆだねたとき、自然と直にぶつかり合ったとき、今まで気付かなかった大自然の真の豊かさを知るだろう。
日本ほどキャニオニングに適した場所はないという。

英国人登山家、ジョージ・マロリーが「そこに山があるから登る」と言ったように僕らは「そこに川があるから流れてみよう」。