STYLE BOOK

「京・和小物」 (7月28日(土)放送)

番組の65回目のテーマは「京・和小物」。
京都。昔から、この街は常に文化の中心であり続けた。
思想、宗教、哲学、文学、織物、陶器、絵画、芸能、さらに、様々なしきたりや作法まで。今ある日本の伝統すべてが、ここに集約される。しかし、この街は、ただ漫然とその伝統を守っているだけではない。実は今も、新たなデザインを次々と生み出しているのだ。古来より伝わる職人たちの智恵に、新たな技術を加えながら、静かにその形を変えて・・・。
僕らはそれを「キョウト デザイン」と呼ぶ。
古いだけではない。未来へと続く新たな伝統が生まれている。

1200年もの長い歳月をかけ、受け継がれてきた匠の技と心。
その新たな形が、今ここにある。「キョウト デザイン」には時を経なければ得られない深い味わいとえもいわれぬ上品な香りが漂っている。

持っているだけで持ち主の個性が輝く道具がある。
いわゆる「京文具」もその1つだ。
京都の孟宗竹を使用したテープカッターの台座。
竹を生かしたユニークな卵形のペーパーウエイトなど。
小さな文具にも、京の魂が宿っている。

この街に生きる人々にとって、伝統とは、守るものであり、同時に作るものなのだ。仁和寺に伝わる国宝「孔雀明王像」。世界最大・最多色で知られるこの木版画は京都の伝統的技術なくしては誕生しえなかった美術品だ。この修復を手がけたのが、木版画師・竹中清八。彼は木版の伝統を生かしつつ、孔雀明王像に新たな息吹を吹き込んだ。そんな竹中の工房「竹笹堂(たけざさどう)」は、京都御所と二条城に挟まれた一角に暖簾をおろす。作業場となっている2階では胡粉(ごふん)や雲母(きらら)といった、京都独特の材料を調合して作られた顔料を使って淡々と木版画が刷られている。数百年続く手摺り木版の技術は一子相伝。今は竹中の息子・健司がその技を受け継いでいる。健司氏は木版画の新作原画を自ら描き、京都の今を切り取り、映し出している。
彼もまた、伝統の香りを生かしつつ、新しい作品を生み出している1人なのだ。

【番組で紹介した店(一部)】
竹笹堂
〒604-008
京都市中京区西洞院竹屋町上る田中町136
tel:075-211-6941
HP:http://www.takenaka.ne.jp/

町家工房
tel:75-213-0360
〒600-8493 京都市下京区四条通西洞院東入郭巨山町11