STYLE BOOK

「コーヒー」 (7月21日(土)放送)

番組の64回目のテーマは「コーヒー」。
一杯のコーヒーを愉しむ時には一冊の本を楽しむようにするのがよい。
ゆっくりと、手間をかけて、そのストーリーを味わうのが正解だ。

自分の好きな豆を探してみるのがいい。労を惜しまず手間をかけて入れるのがいい
そしてまたその一杯を楽しむ環境を整えるのもいい。
時間をかけて、手間をかけて一杯のコーヒーにたどり着く。
うまい珈琲を楽しみたいと思うのならそこに至るまでの良いストーリーが必要だ。

東京・吉祥寺にある自家焙煎珈琲店・もか
店主である標さんは、良い豆との出会い無くして美味しい珈琲を愉しむことはできないという。良い豆を最高の技術で焙煎してこそ煎り立ての美味しい豆ができ上がる。

神奈川県・横浜市。コーヒー器具・豆の専門店、珈琲問屋。
店内には、数百数千に及ぶ、様々な器具・道具がところ狭しと並べられている。
もちろんそれらは、すべてが一杯のコーヒーを作り出すために用意された物である

器具としての性能はもとより一つの造形物として、高い評価を得ているザッセンハウスのコーヒーミル。豆をひいている時間を上質な物に変えてくれる器具だ。

プロがもっとも利用していることでも知られるハリオのサイフォン。変にこったり飾ったりしない、究極のシンプルな形状。しかしそれが逆に、このサイフォンの奥の深さを表している

圧倒的な存在感、重厚さ。それがパボーニ社のエスプレッソマシン。高温高圧で抽出されるエスプレッソの味を最高の物にするためには、この形状が必要だった。

東京・神保町
そこには入り口からして趣のある喫茶店・さぼうるがある

昭和三十年に創業されたというこの店。店内はその時代を感じさせる山小屋風の作りとなっている。 レンガの壁には隙間無い落書き。この落書きを見ながらコーヒーを飲めば、まるでタイムスリップしたかの様な感覚に襲われる。

大きなヤカンから一気に注がれるお湯立ち上るコーヒーの香。50年以上、変わることのない味がここにある。

四谷にあるカフェ、いーぐる
地下に続いていく階段を下りると、そこにはかぐわしいコーヒーの香りとジャズが待っている。ジャズがブレンドされたコーヒーは別格の味わいがする。
時にそれは刺激的に、時にそれはクールにコーヒーの味を自在に変えてくれる。ここで愉しむコーヒーのストーリーはコーヒーよりも熱く、ジャズよりもクールな味わいを持っている。

太陽の下で愉しむコーヒーもまたいい。
六本木にあるバール・デルソーレのコーヒーは陽気なラテンのストーリーを紡ぎ出している。バールとは本来止まり木という意味。この止まり木に止まる事で、新たなストーリーが始まる。エスプレッソの苦い一杯が陽気なラテンのストーリーの始まり。

一杯のコーヒーから始まるいくつものストーリーどれを選ぶのかは、自分次第。
だから、一冊の本を楽しむ様に一杯のコーヒーを楽しもう。