STYLE BOOK

「レインギア」 (6月16日(土)放送)

番組の59回目のテーマは「レインギア」。
僕らは雨の日を楽しむことを忘れてしまっているだけなのかもしれない。
仕立ての良いコートや美しい傘、そのひとつひとつを手にするだけで、
雨の日は今までとは違った世界に見えてくるだろう。
雨の日の装いにこだわると、きっと梅雨も楽しい季節になるはずだ。

書籍や文具の店として名高い日本橋丸善が展開するメンズショップ、丸善ヤマノ服飾舘。ここは数々のメンズアイテムと共に雨具も力を入れている。自分好みの1本を望むなら、パターンオーダーを試みるのも良いだろう。
ハンドルなどのパーツや骨の数、生地などを選んでいくだけで、自分だけの1本を作ることができる。

丸善ヤマノが扱う傘は既製品、オーダーともにその多くは前原の傘と呼ばれる、知る人ぞ知る名品だ。

昭和23年創業の前原光榮商店は日本を代表する高級傘メーカー。
傘を知るものなら必ず1本は持っていると言われるブランドである。
前原の傘作りのこだわりは完全なるハンドメイド。
およそ140個と言われるパーツはすべて前原オリジナル。
数々のパーツは道を極めた職人たちの手によって情熱と信念を持って世に送り出される。

雨の日が楽しくなる傘とは、単に雨を確実に防ぐだけの道具という意味ではない。
使う時も使わない時も美しいフォルム。持つ程に喜びを感じる質感。
それらがより雨の日を楽しくさせる。

レインコートは本来、濡れていいもの。
だからヨーロッパの紳士は小雨では傘をささない。彼らはレインコートの役割を知っている。
イギリスの老舗アクアスキュータム。
アクアスキュータムとはラテン語の「水」と「盾」を合わせた「防水」を意味する造語で、世界で初めて防水加工のウール地を開発した事で名を知らしめた。
以来、150年以上の長きに渡りラグジュアリーファッションブランドとして揺るぎない地位を確立している。
その代名詞存在がキングスゲート。
いつかは着てみたいと大人の男達が憧れるザ・トレンチコート。
世界の定番として永く愛されている。

空を暗い雲が覆って来た。やがて雨が降るだろう。
そんな時、今までの僕らは憂鬱な気分で心まで雲らされていた。
しかし、お気に入りのレインギアがあれば憂鬱は
きっと楽しみに変わることだろう。