STYLE BOOK

「ウイスキー」 (4月28日(土)放送)

番組の52回目のテーマは「ウイスキー」。
エジンバラで行われたワールドウイスキーアワードで、世界ナンバーワンに輝いたブレンデッドウイスキー「響」。その深い味わい、高い完成度を作り出すためにブレンダーは気の遠くなるほどのテイスティングを重ねている。

大阪と京都の中程、天王山の麓。
サントリー山崎蒸留所は、周囲を緑の山々に囲まれた中に建てられている。日本のウイスキーの故郷と呼んでいいこの蒸留所が完成したのは、今から84年前、1923年のこと。緑豊かな自然、湿潤な気候、そして万葉の歌にも詠まれた名水・離宮の水気候風土に名水と、ウイスキー作りに欠かせない条件がこの地にはすべてそろっていた。
サントリーウイスキー・チーフブレンダー、輿水精一。
彼もまた、サントリーがこれまでに生み出してきたすべてのウイスキーの一樽ごとの味を知り尽くしている。彼が生み出したブレンデッドウイスキー・響は、世界ナンバーワンの称号を獲得している。また彼はシングルモルトウイスキーのブレンドも手がけこのウイスキーでも国際的な賞を受賞した。

トランプのカードをデザインしたラベルが印象的なシングルモルトウイスキー、イチローズモルト。2005年に誕生したばかりのインディペンデント・ウイスキーブランドであるこのメーカーは、今、世界中のウイスキー愛好者達から注目を集めているシングルモルト、しかもシングルカスク、つまりひとつの樽で作ったウイスキーを、一切のブレンドをせずにそのまま製品化し売り出していることにこだわりを持つこのメーカー。

実は、前身の酒造メーカーが廃業しウイスキー醸造の機器も、それまでに熟成されていたウイスキーもすべて廃棄する寸前であるところから、スタートしたメーカーであった。

今年の二月、お台場で行われたウイスキーマガジンライブ2007並みいる世界中のシングルモルトウイスキーを抑え12年以下のシングルモルトのカテゴリーで見事ナンバーワンに輝いたのはイチローズモルトのウイスキー、トゥーオブクラブズだった。創業僅か二年のインディペンデントウイスキーメーカーが巻き起こしたこの偉業は、まさに世界中を驚愕させた。

日本のウイスキー作りの底力が実証されたその自然が、気候が、そして技術が、世界の中にあっても充分に通用する、いや、はるかに優れていると言うことが明らかになったのだ。

ウイスキーという酒には重みがある。
時間の重み、自然の重み、人の思いが込められた重み。
僕たちはその重みを感じながら、この酒を口に運ぼう。

ウイスキーの似合う大人になろう。
ウイスキーに帰ろう。