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削ることで表れてくるもの ~Apple の新製品~

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今日のスタイルブックの会議の話題(雑談ですが)は、間違いなく昨夜発表された新製品 MacBook と MacBook Pro のことになるでしょう。予算さえあればどれも欲しくなるモノばかりですが、先ほど実際にお店でマシンを見てきてこんなことを考えました。

まず、アルミ一枚から作られたという筐体は本当に美しいです。持つことが嬉しくなる、というコンピュータはそうあるものではありませんが、これは裸で見せびらかしながら持ち歩きたくなります。

しかしぼくたちが一番驚いたのは、入門機である MacBook から Firewire ポート(iLink)が無くなっていたことです。Firewireというのは、主にハードディスクやビデオカメラをつなぐ端子です。これが無くなるとはどういうことかと言うと、DVやHDVというテープを使ったビデオカメラからの取込みや書出しができなくなる、ということなのです。

これまであれほど「ホームビデオを撮って自分で編集して、作品をみんなに配りましょう」と言っていたのに、なぜでしょうか? 

答は一つ。一般消費者向けのビデオカメラは、今後 DVやHDVのようなテープメディアでは無くなる、と Apple が考えているからです。おそらく SDカードやDVDに記録するカメラが入門機になると見ているのではないでしょうか? すでにDVやHDVで撮影したテープが世界中でたくさんあるだろうに、これはかなり思い切った判断だと思います。

今年の7月12日にアップルストア銀座で催したスタイルブックの公開収録「iPhone 3G から始まる未来 対談:林信行 x 及川卓也」で、お二人ともこんなことをおっしゃっていました。外部端子を無くした MacBook Air も、今の携帯電話にあるボタンや、ブラウザにあるFlashという機能を持たない iPhone も、Apple が要らないと考えるものは削ってしまうというところが潔い。

これらの製品には機能を増やしボタンを増やしていく進化と全く違う「美学」があります。美学を持つ製品、美学を持つ企業。そういうものが、スタイルブックは大好きです。

「Less is more」(ミース・ファン・デル・ローエ)

「あるものが完成したと言えるのは、もはや付け加えることが何も無くなった時ではない、削りとることが無くなった時のことを言うのだ」(サン=テグジュペリ)

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