日本の老舗 美味を探る旅

日本の老舗 美味を探る旅

放送内容

最初に訪ねたのは、佐賀県唐津市。
有名な虹の松原近くにある洋々閣は、外観には古風な千本格子戸が静かに並び、庭には樹齢200年を越える松が美しく、威厳を備えている。
食事は季節によって異なるが、玄界灘でとれたイカ、オコゼの鉄引き、タイ、車エビのほか、佐賀牛も食卓を飾る。客の多くは昔からのなじみが多く、文人、芸術家、学者が多いという。

唐津に近い呼子は日本でも有名なイカ漁の町。そのほとんどがケンサキイカ。今の季節は午前4時に漁に出て、水揚げされたイカは弱ることがないよう、触られることなくいけすに移される。午前7時半から始まる日本三大朝市の一つ、呼子朝市では、イカ料理や干物店が並び、いきのいいイカを食べさせてくれる。

続いて、城下町として今もその面影を色濃く残している松江を訪れた。町にはいくつもの古いしきたりが残っている。その一つが「大餅さん」。旧正月、寺の大日堂に奉納された大餅を、豊作と無病息災を祈願し、若者が裸でかついで山を走り下りる勇壮な行事。
さらに松江には、古くから伝わる和菓子もたくさんある。
岡三英堂本店は、昔の瓦ぶき屋根と小さな家をそのままに残している。1929年創業で決して古くはないが、江戸中期、松平藩主が開いた菓子作り文化の精神を受け継ぎ、藩主が命名していたものの一時途絶えていた「菜種の里」を復活させた。

また、1715年に創業した老舗・來間屋生姜(しょうが)糖本舗。江戸に勤めていた松江藩の來間屋文左衛門が、晩年、地元に帰り、あまりにも菓子がまずいのに驚き、苦労して生み出したのがこのしょうが糖だった。
その後、江戸の将軍などに献上して賞賛されたという。本店は出雲市にあり、使用するしょうがは地元でしか育たない出西しょうが。
もう一つ、1727年にできた青山蒲鉾(かまぼこ)店。もともとは魚屋と仕出し屋をやりながらかまぼこを作っていたが、戦後、かまぼこのみに専念することになり、「あご野焼き」を始めた。地アゴを使ったかまぼこは、人々のひそかな楽しみとなった。

そして、この地方の老舗旅館といえば、出雲の日の出館。
宿の主人が「時は変われど もてなしは変わらず」という教えを守り、今も和室のみの建物で伝統の味を守り続けている。料理も旅館自慢の白みそを使ったものが多く、中でも、タイの煮付けは名物の一つとなっている。

最後に向かったのは名古屋。
地元の財界人などに愛されている八勝館は、驚きの正門を構えている。桟瓦ぶきの反り屋根を差し込んだ重厚な門と、さらに西側には棟門が。入口は舞良戸(まいらど)に、腰障子建てとなっている。
さらに、趣ある部屋の中でひときわ光るのが、1950(昭和25)年、天皇・皇后が宿泊した「御幸」と呼ばれる和室と月見台。そして、料理の器は魯山人の名品に、料理はいずれも伊勢湾でとれたオコゼや伊勢エビなど、超一流品が並ぶ。徳川の時代から今も続く名古屋のプライドがいたる所に感じられる、まさに本物の老舗料亭。
名古屋の代表的な食材といえば八丁みそ。
「八丁」の名の由来は、岡崎城から西へ八丁の所にある八帖村で生まれたことだといわれている。木おけにいくつかの仕込みを終えたあと、一つ一つ重石を積み重ねてゆく独自の手法で作られ、2年間じっくり寝かせて熟成させるのも、およそ700年の伝統を守るためだ。

◆塩見茶屋(ぼてぼて茶)

住所:松江市北堀町319
TEL:0852-25-4031

◆三英堂(和菓子)

住所:松江市寺町47
TEL:0852-31-0122

◆青山蒲鉾店

住所:松江市中原町88
TEL:0852-21-2675

◆日の出館(旅館)

住所:出雲市大社町杵築南776
TEL:0853-53-3311

◆來間屋生姜糖本舗

住所:出雲市平田町774
TEL:0853-62-2115

◆まるや八丁味噌

住所:岡崎市八帖町往還通52
TEL:0564-22-0222

◆きく宗(菜飯田楽)

住所:豊橋市新本町40
TEL:0532-52-5473

◆八勝館(料亭)

住所:名古屋市昭和区広路町字石坂29
TEL:052-831-1585

◆川島豆腐店

住所:唐津市京町1775
TEL:0955-72-2423

◆洋々閣(旅館)

住所:唐津市東唐津2-4-40
TEL:0955-72-7181

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