映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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六十一候「閉塞く冬となる(そらさむくふゆとなる)」

二十四節気の暦は大雪!

「閉塞く冬と成る(そらさむくふゆとなる)」
閉じるという漢字を使って、そらと読みます。 天地の気が塞がり、冬がやってくるという意味です。 今回の候では、お歳暮や煤払い、大根、ブリ、シクラメンなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

そろそろ、お歳暮の時期。お世話になった方々への感謝の気持ちを贈り物に込めて…。お歳暮は、年神様をお迎えするために、嫁いだ娘や分家の者が、お供え物を本家に持ち寄ったことに始まったそうです。その後、年末に帰省できない子どもや遠方に住む親戚が、祖先の霊や年神様に供える供物を本家に贈るようになり、やがて日頃お世話になっている親類や上司などにも贈られるようになっていったのです。

正月事始めの一つとして有名なのが、「煤払い」です。「煤掃き」ともいわれ、12月13日に家の内外を「大掃除」します。元々は、新しい年の五穀豊穣を約束してくれる神様をまつる準備のための行事でした。この日は神棚と仏壇の掃除のみを行い、それ以外の掃除は、13日以降の日に行うようになり、これがやがて、暮れの大掃除という形になっていったといいます。

冬になると美味しくなるのが大根です。 葉に近い部分の「クビ」は汁が多くて甘く、先端部分の「サキ」は汁が少なく辛いため、クビの部分は生でサラダに、サキは大根おろしなどの薬味にすると良いですね。大根を柔らかく茹で、味噌などをつけて食べる「風呂吹き大根」も、この季節には欠かせませんね。

大根と相性抜群なのが「ブリ」。ブリ大根は、冬の寒い時期に食べたい旬の料理ですね。ブリのアラから出る脂の乗った旨みを、大根にしみ込ませるのが決め手です。出世魚で縁起のいいブリは、お正月に欠かせない食材です。西日本では、お節料理によく登場します。また年の暮れに、旦那さんからお嫁さんの実家へ「素敵なお嫁さんをいただき、ありがとうございました。大変良い嫁ぶりです」という意味を込めて、ブリを送る習わしもあるそうです。

「シクラメン」は寒さが一段と厳しさを増す11月頃から、翌年の4月頃まで花を咲かせ続けます。 花の色も、赤、紫、ピンク、白などの単色系から、複数の花色を持つ種類もあり実に多彩。和名は「篝火草(カガリビバナ)」。これは、シクラメンを見たある日本の貴婦人が、「これは篝火の様な花ですね」と言ったのが由来だといいます。