映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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五十八候「虹かくれて見えず(にじ かくれてみえず)」
五十九候「朔風葉を払う(きたかぜ このはをはらう)」

二十四節気の暦は小雪!

「虹かくれて見えず(にじ かくれてみえず)」
日差しも弱まり、虹が見えにくくなるこの季節を表現した候です。
「朔風葉を払う(きたかぜ このはをはらう)」
「朔(さく)」という字は、「最初から始まる」「元へ帰る」という意味があるため、「北」の方角とかけたのでしょうね。今回の候では、クエやかわせみ、初雪、木枯しとなど、この季節の話題を楽しくお送りします。 

この時期おすすめの魚といえば、「クエ」です。 地域によっては呼び名が違い、九州ではアラ、西日本ではモロコ、愛知県ではマス、三重県ではクエマス、四国ではアオナ等とも呼ばれています。刺身や鍋料理との相性は抜群。相撲の世界でも、ちゃんこ鍋の具材として扱われています。また、クエという名前の由来はいろいろあるようですが、「あまりに美味しすぎて、他の魚が食べられなくなる」から他の魚が「食えん」説といった面白いものもあります。

「チーッチーッ」という可愛い鳴き声で、水面近くをまっすぐ飛ぶのがカワセミです。その体の美しさから、「翡翠(ひすい)」と表現されます。また「翠(すい)は羽を以て自らそこなう」、ということわざがあります。「翠」とは、かわせみの事で、美しい羽を持っている為によく捕まえられる事から、「長所やすぐれた才能が、かえって災いを招く元になる」という意味になります。

冬になって初めて降る雪は「初雪」。雪と言えば、降る様子によって、呼び名が違うのも魅力ですね。粉のようなサラサラと降る雪を「粉雪」。牡丹の花びらのような大きい雪を「牡丹雪」。泡のように、すぐに溶けてしまいそうな雪を「淡雪」。水分が多く、べちゃっとした雪を「べた雪」など、その数は数十種類にもなります。

寒空の下、ものすごい音を立てて吹きすさぶ風「木枯し」が、この時期猛威を奮います。 木枯しという文字が示すように、樹木から木の葉を舞い散らせるような風、一番最初の木枯らしは「木枯らし一号」として、ニュースでもよく耳にしますね。木枯らしを漢字一文字で表すと「凩」となります。風の構えの中に木を置く様子は、「木枯らしが、一本の木を包み込んで枯らそうとしている」ようにも見えますよね。

冬の寒さは、日を追うごとに厳しくなってきますね。 そんな寒さから、私たちを守ってくれる「火鉢」。 炭を使った伝統的な暖房器具。陶器や木製、金属製が一般的でしたが、石でできたものもあったとか。大きさも数人がかりで動かす「大名火鉢」から「手あぶり」と呼ばれる小形火鉢まで様々。薪のように煙が出ないことから、上流の武家や公家に使用されていたものが、江戸時代から明治にかけて庶民にも普及していきました。