映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
  • トップページ
  • バックナンバー
  • テーマ音楽
  • プレゼント

バックナンバー

三十八候「寒蝉鳴く」(ひぐらし なく)

二十四節気の暦は大暑から立秋!

「寒蝉鳴く(ひぐらし なく)」
この候は、蜩(ひぐらし)が甲高く「カナカナカナ~」と鳴く頃を表した候です。今回の候では、蜩(ひぐらし)、夕焼け、太刀魚、百日紅(さるすべり)、徳島阿波おどりなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

この時期、日も暮れ出すと、雑木林などから蜩(ひぐらし)の鳴き声が響き始めます。ひぐらしという名前は、夕方に鳴く事が多い為、「日を暮れさせるもの」という意味があります。また、その鳴き声から、「カナカナ蝉」などとも呼ぶ地域もあるそうです。この鳴き声を聞くと、なぜか寂しいキモチになりますね。

この時期、夕焼けは、空や山、街の建物などを真っ赤に染めあげ、ハッと息を飲むような美しさを醸し出します。その反面、明るい時間が終わり、暗い夜の時間がやって来る合図でもある為、儚さや切なさ、寂しさ等の象徴ともされます。そして、農家の人々にとっては、夕焼けがその日一日の仕事を終える合図とされ、一日を無事に過ごす事が出来たという安息の風景でもあります。

細長い体が特徴の魚「太刀魚」。ちょうどこの時期が産卵期に当たり、身が大きく太り、味も良くなる為、食べ頃とされています。また、全長が2メートルにまで成長する事もあるそうです。頭は尖り、獰猛そうな鋭い歯を持っており、体には鱗がない事でも知られています。太刀魚という名前は、その姿が大ぶりの日本刀、「太刀」のように見える事から名付けられました。

この時期、こちらの「百日紅(さるすべり)」が咲き頃を迎えます。花の美しさと病気に強いことから、公園でもよく見かける植物です。幹は、成長と共に古い樹皮が剥がれ落ち、新しく滑らかな感触の樹皮が表面に現れます。この樹皮が、木登り上手の猿も登れないほど滑らかですべすべしている事から、「さるすべり」と名付けられたといいます。漢字で「百日」の「紅」と書くのは、「百日経っても花が咲き続ける植物」という意味が込められています。

お盆の時期といえば「盆踊り」もはずせません。特に有名なのが、徳島県の「阿波おどり」です。400年の歴史を持つ祭りで、全国から100万人以上の観光客が訪れます。「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」阿波踊りといえば、この掛け声ですね。ちなみに「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ」とは、阿波徳島の城が完成した際に、「めでたい、好きに踊れ」という触れを出した殿様をたたえた言葉だという説があります。粋なはからいですよね。