映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
  • トップページ
  • バックナンバー
  • テーマ音楽
  • プレゼント

バックナンバー

十九候「蛙始めて鳴く(かわず はじめてなく)」

二十四節気の暦は立夏!

十九候「蛙始めて鳴く(かわず はじめてなく)」
この頃になると、雄蛙が雌蛙を求めて、いかにも夏らしいあの鳴き声をあげ始めます。今回は、そんな初夏の一場面を切り取った、とても風情のある候です。 今回の候は、蛙、水芭蕉、鵜飼、鮎、蜜蜂など、この季節の話題を楽しくお送りします。

「古池や 蛙飛び込む 水の音」 松尾芭蕉の有名な句です。
この頃、蛙は「かわず」の名で呼ばれていました。また、生まれてから別の場所へ移動しても、その後、必ず元の産まれた池に帰ってくる事から「かえる」と呼ばれるようになったといいます。虫偏に圭という漢字は、その鳴き声が「けーけー」と鳴いていると捉えられていた為に、この「圭」が用いられたそうです。

水芭蕉は、主に湿地など水場の近くに群生しています。
また、綺麗な水が流れる川の水辺に生息しているので、そうした清流との調和が美しいのも魅力です。


岐阜県岐阜市の湊町では、毎年5月11日に「長良川鵜飼開き」が行われます。篝火が盛大にたかれる中、伝統装束に身を包んだ鵜匠が、「ほうほう」と声をかけながら、鵜を自在に操り、鮎を採る様子は、実に幻想的です。鵜飼は全国各地で行われている行事ですが、長良川の鵜匠は、日本で唯一「宮内庁式部職」の肩書を持ち、世襲によって受け継がれています。

初夏になると、各地の清流では鮎漁が解禁となります。「鮎」の漢字は魚偏に「占」です。これは物や場所を自分のものにするといった意味の「占拠・占有」といった意味合いがあり、縄張りを持つ魚として知られています。この性質を利用した鮎独特の釣りが「友釣り」です。また鮎は「香魚(こうぎょ)」という別名がある様に水質が良い川の鮎はスイカの香りがし、水質が若干劣る川の鮎はキュウリの香りがするとも言われているそうです。

初夏の花畑や野原では、蜜蜂が蜜を集める為に活発に動き始めます。蜜蜂は、蜜が取れる場所を見つけると、巣の上空でダンスをするという独特の習性があります。このダンスは、仲間に蜜のある場所の方向と距離を伝えるものだそうです。蜜が近い場合は、体を振りながら左右交互に円を描く「円形ダンス」を行い、遠い場合は「8の字ダンス」を行う事が知られています。