映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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三候「魚氷を上る(うお こおりをいずる)」
四候「土の脉潤い起こる(つちのしょう うるおいおこる)」

二十四節気の暦は立春から雨水へ!

「魚氷を上る(うお こおりをいずる)」
気温が温かくなり、川や湖の氷の表面が割れ、魚が飛び出してくる様子を表現した候です。
「土の脉潤い起こる(つちのしょう うるおいおこる)」
「冬の間、凍りついていた土の中で、水の流れや虫の動きなどが、少しずつ脈打ち始める」といった事を表現した候です。今回の候では、イワナ、スミレ、キャベツ、藍蒔く、谷汲踊りなどこの季節の話題を楽しくお送りします。

魚が活発に動き始めるこの頃、川魚を狙う釣り人にとっても待ちわびた「渓流釣り」が解禁となります。 渓流釣りといえば、「イワナ」が人気ですよね。 イワナは、川の上流の中でも源流に近い所に多く生息しているそうです。岩陰に潜んで餌を取る為、岩の魚と書いて、「イワナ」となったといいます。

スミレは、この季節になると深い紫色をした花を咲かせてくれます。日本植物学の父と呼ばれる牧野富太郎が唱えた、スミレの花にある蜜の入った袋状の部分が大工用具の「墨入れ」に似ているという説が広く伝わり、やがてこの「墨入れ」が転じて「スミレ」と呼ばれるようになったそうです。

キャベツは一年中食べごろの種類があるので、使い勝手のいい野菜の一つです。その中でも、春に収穫を迎える「春キャベツ」は、ふっくらとしており、葉の巻きがゆるく柔らかい為、一年の中で最も美味しい種類だといわれています。シンプルに、千切りにすると柔らかさと甘みが感じられておいしいですよね。

吉野川流域は古くから藍染が盛んで、今でも徳島県は、日本有数の藍染生産地となっています。そして、そんな藍を畑に蒔くのが、この時期であり、「藍蒔く」は初春の季語にもなっています。藍は、葉を傷つけるとその傷口が「藍色」となるので、布などを染める「藍染め」に利用されてきました。藍染めは奈良時代から続き、日本を代表する伝統的な染め方。海外では、藍の深く鮮やかな色は「ジャパンブルー」とも呼ばれています。

岐阜県揖斐郡では、この頃に豊年祈願祭「谷汲踊り(たにぐみおどり)」が行われます。12人の太鼓打ちが胸に吊るした大太鼓を打ちならし、背に負った「シナイ」を豪華に揺さぶりながら勇壮に踊ります。 その姿は、まるで鳳凰の羽のよう。元々の起源は、今から約800年前、源平の壇ノ浦の戦いの勝利を祝った武者踊りとされ、江戸時代の農民達は雨乞いとして行っていたといいます。