映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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二候「うぐいす鳴く(うぐいす なく)」

二十四節気の暦は立春!

「うぐいす鳴く(うぐいす なく)」
うぐいすの特徴といえば、美しい鳴き声ですね。また春を告げる鳥「春告鳥」という別名もあります。まさに春を象徴していますね。この候は、そんなうぐいすが鳴きはじめる頃を表現しています。 今回の候では、うぐいす、梅、にしん、えんぶり等この季節の話題を楽しくお送りします。

うぐいすの「ホーホケキョ」という鳴き声は雄のみのもので、「ホー」は吸う息、「ホケキョ」は吐く息なのだそうです。昔はその鳴き声を「ウー、グイ」と表現していたといいます。この「ウグイ」と、カラス、ホトトギスといった鳥の接尾語としてよく使われる「ス」を合わせ、「ウグイス」と呼ぶようになったともいわれています。

食べ物にも、うぐいすは登場します。奈良の名物「うぐいす餅」。実は、命名者は「豊臣秀吉」だといわれています。当時、奈良県の郡山城主であった「豊臣秀長」が、兄である秀吉を招いた茶会を開く際、珍しい菓子を造るよう菓子屋の菊屋治兵衛に命じこの餅を作らせました。茶会でその餅を食べた秀吉は、大変気に入り、「この餅をうぐいす餅と名付けよ」と命令した事からこの名が付いたのだそうです。

春の訪れを鳴き声で告げるのがウグイスなら、花の開花によって春を告げるのが、この梅です。梅も「春告草」の異名を持っています。その他にも、いい香りを周りに散らすことから「香散見草(かざみぐさ)」という別名もあります。茨城県水戸市にある日本三名園の一つ「偕楽園」では、「水戸の梅まつり」が有名で、およそ3000本の梅の花が咲く大変美しい光景を堪能できます。

春告魚(はるつげうお)と呼ばれている魚がいます。 それはニシン。一大産地である北海道では、最盛期に、なんと100万トンもの漁獲高があり、ニシン漁で富を得た漁師達によって建てられた、「ニシン御殿」が建ち並ぶほどだったといわれています。産卵期のこの時期に脂が多く乗るため、まさに春が旬なのです。身を二つに裂いて、食用にすることから、「二つの身」で「ニシン」と呼んだのが由来だとも言われています。

青森県八戸では、この地を代表する民俗芸能「えんぶり」が行われます。その年の豊作を祈願するための舞の事で、太夫と呼ばれる踊り手が、馬の頭を表現した華やかな烏帽子を被り、頭を大きく振ったり、「ジャンギ」と呼ばれる、先端に鳴子板や金輪をつけた棒を、地面に突き立てたりする独特な舞です。今では、国の重要無形民俗文化財に指定され、「十和田湖冬物語」「弘前城雪燈籠まつり」とともに「青森冬の三大まつり」に数えらています。