映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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五十一候「蟋蟀戸にあり(きりぎりす とにあり)」
五十二候「霜始めて降る(しも はじめてふる)」

二十四節気の暦は寒露から霜降!

「蟋蟀戸にあり(きりぎりす とにあり)」
日も短くなったこの季節、家に明かりを灯す頃になると一斉に秋の虫達が大合唱を始めます。
「霜始めて降る(しも はじめてふる)」
秋の早朝。畑で栽培されている野菜の表面にうっすらと氷の結晶が付いていることに気づきます。今回の候では、べったら市、ホッケ、十三夜の月、紫式部、文鳥の日など、この季節の話題を楽しくお送りします。

秋の恒例行事「べったら市」。これは東京を代表する名産品、大根の麹漬「べったら漬け」を一斉に売り出す行事です。表面についた甘酒の麹がべとべとしているため、べったら漬けという名前になったのだそうです。江戸時代中期から、宝田恵比寿神社の門前で10月20日の恵比寿講にお供えするため、前日の19日に市が立ち、魚や野菜、神棚などが売られるようになったのがその起源と言われています。

熱燗が体の芯に沁みるこの季節、酒の肴として食べたいのが「ほっけ」です。ご飯にもよく合うし、絶品の魚です。ほっけは漢字で書くと、魚編へんに花で「𩸽」と書きます。この漢字、実は日本で生まれたもので、ほっけの体にある模様が、花びらのように美しい斑紋を描いていることからなのだそうです。

この時期、中秋の名月と並ぶ、もう一つの名月「十三夜」が夜空を明るく照らしてくれます。お月見というと旧暦八月十五日の十五夜がもっとも有名ですが、旧暦九月十三日の十三夜もまた、美しい月であると重んじられてきました。一般に十五夜に月見をしたら、必ず十三夜にも月見をするものともされていました。十五夜だけを見るのは、「片月見」といって嫌われていたからです。

森林などを散策していると、紫色の小ぶりで可憐な実をつけた樹木が目に入ってきます。「紫式部」です。その名の通り、紫に熟した美しい実の色から「源氏物語」の作者の名を取ったといいます。花言葉は「上品」、「聡明」。名前の由来となった紫式部を彷彿とさせますね。6月頃に花を咲かせ、高さ3m程度に成長します。そして、今ごろの時期に果実が熟し紫色になるのです。

10月24日は「文鳥の日」です。昭和30年代は、文鳥をはじめとした小鳥の大ブームでしたね。日本に入って来たのは18世紀半頃、当時は鎖国中で数少ない海外との窓口として、対オランダ貿易が行われていた長崎の出島を通じて、輸入されたという記録が残っています。体の色も実に様々で、人気を独占したのが体全体が白い「白文鳥」でした。