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2011年4月15日・29日放送 「撓る(しなる)×竹」
竹には、神秘の力が宿ると考えられていました。しなる、たわむ、それでいて、強い。
日本の文化は、竹とともに育ちました。その精緻を極める技は、竹の特性を活かし今も確かに受け継がれています。
食用になり、工芸品の材料となり、その抗菌作用から料理を包んだり竹布になったり。
日本人の文化や生活を様々な側面から支えて来た、美しく、しなやかな竹。今回はその魅力に迫ってみようと思います。
竹を巡る旅に一緒に出かけるのは、アメリカ人日本画家のアラン・ウエストさん。アメリカで絵画を学んでいるとき、日本画の魅力に憑りつかれ、東京藝術大学でその技法を学びました。現在日本画科として活躍するアランさんは、重要なモチーフの1つである竹に強く惹かれています。
京都、嵯峨野…そこには平安の昔から貴族たちに愛されてきた美しい竹林があります。
多くの種類の、壮大な竹林を前に、アランさんは「竹の聖地」と感嘆の声をあげました。
そして京都の町で見かける竹細工、犬矢来、そして竹垣。竹垣には、それぞれ趣向が凝らされました。一糸乱れぬ美しさを支える職人のワザ。アランさんは江戸時代からの竹材店を訪ね、制作過程を見る中で、竹とともに生きてきた日本の文化にふれました。
東京、銀座の真ん中に古き良き時代の風情を醸す旅館があります。内装の至る所に、ふんだんに竹が使われており、都会の喧噪を忘れるすがすがしい空気に驚きます。徹底的に竹にこだわった女将、中川ヨシミさんが目指したのは、テレビや冷蔵庫もなかった"ちょっと前の日本"。私たちが失いかけている何かをそっと教えてくれる宿です。
奈良県、生駒…国産のものの9割を生産する、茶筌の里。
茶筌作り40年の平田俊之さんを訪ね、竹の持つ全ての利点を、一つの道具に集約してみせた伝統の技術を見せて頂きました。竹の性質を知り尽くした職人が創り上げる、芸術品のような茶筌。茶人たちの風雅を、竹の道具が支えていました。長岡天満宮の周囲は竹の名所です。旬の筍掘りの見学し、とれたての筍に感銘を受けたアランさん。明治創業の老舗・錦水亭で、筍づくしに舌鼓を打ちました。地上に芽を出した竹は、一気に成長して背丈を伸ばします。筍は、それだけ力強い生命力を宿しているのです。
私たちの暮らしの、すぐそばにある竹。しなり、たわみ、強固にして自在。
あらためて、竹の力に驚かされました。
嵯峨野の竹林
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梅小路公園(竹枝穂垣) 住所:京都府京都市下京区上中之町1−3 |
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洛西竹林公園(光悦寺垣) 住所:京都市西京区大枝北福西町2丁目300-3 |
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建仁寺(建仁寺垣) 住所:京都市東山区大和大路通四条下る四丁目小松町584 |
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竹又 中川竹材店(竹垣製造) 住所:京都市中京区御幸町通二条上る達磨町610 |
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株式会社 ナファ生活研究所 (竹布) 住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-37-3 |
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銀座吉水 住所:東京都中央区銀座3-11-3 |
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翠宏園(茶筌製造) 住所:奈良県生駒市高山町3648 |
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錦水亭(筍料理) 住所:京都府長岡京市天神2丁目 |
アラン ウエスト(ALLAN WEST)
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