新・にほん風景遺産~故郷を見つめなおそう~

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正月に行きたい!祈りの里スペシャル 出雲・高千穂・日光

2016年最後の「新・にほん風景遺産」は祈りの里スペシャルと称して、日本の始まり、神々の季節、そして山岳信仰の聖地をご紹介します。

島根県の東部に位置する出雲地方は神話の里。天地の始まりから伝わる「古事記」のおよそ三分の一は出雲が舞台といわれます。日本最大の社を誇る出雲大社は、縁結びの神様で知られるが、創建の由来は古事記「国譲り」神話と伝わります。
出雲地方を潤す斐伊川(ひいかわ)は、奥出雲・船通山を源に日本海へと注ぐ全長約153キロの大河。源流の船通山は、古事記で荒ぶる神・スサノオが地上に降り立った伝説の地。また、出雲は砂鉄の産地。日本海に面し、海上交通の要地でもあるため、大陸の文化や技術が伝わり、古くから砂鉄を利用した製鉄が行われてきました。スサノオによるオロチ退治の神話は、古代の製鉄文化と当時の戦争を象徴しているともいわれています。
旅人の作家・島田雅彦が、スサノオが降り立ったとされる船通山に登り荘厳な滝と出会い、斐伊川の清き水が育んだ仁多米に舌鼓。さらに、砂鉄から作られた玉鋼を原料に使う刀鍛冶や、神社や神楽などで使われる横笛職人の伝統の技や心意気に触れる。 古事記の足跡をたどり、出雲大社や斐伊川流域など神々の国・出雲を旅します。

高千穂町は九州山地のほぼ中央部、宮崎県の最北端に位置する人口およそ1万3千の町。中心部を五ヶ瀬川が西北から南東にかけて流れ、途中には高千穂峡(通称)が神秘的な絶景を創出し、古くから神楽の里と知られ、年間100万人以上の人が訪れます。高千穂の夜神楽は、里の鎮守の氏神様を中心に、神様と里人たちが一緒に秋の新穀収穫を喜び、翌年の豊作を祈願する招魂・鎮魂から生まれた霜月の里神楽、千年近く受け継がれてきた神への祈り。毎年11月中旬から翌年2月上旬にかけて、夜を徹して33番の神楽が一晩かけて町内二20の集落で奉納されます。 日本最古の歴史書「古事記」に、「朝日の直刺す国」と記された高千穂。旅人・石丸謙二郎が、神々が降り立った天孫降臨の地で天照大神(あまてらすおおみかみ)伝説にも触れ、さらに高千穂峡から引いた御神水を使用している老舗旅館で山里料理に舌鼓。晩秋の絶景と神話の里に、心清められる二泊三日の旅を満喫する。

栃木県日光市は、1999年に日光二荒山神社、日光東照宮、日光山輪王寺が 「日光の社寺」として世界遺産に登録され、都心から電車でおよそ二時間という地の利もあって国内外から年間およそ200万人が訪れます。
この地には古くから山岳信仰の対象であった山々があり、この地特有の文化を育んできました。天下人・徳川家康は生涯一度も日光を訪れていないにも関わらず、この地に祀られることを望みました。家康は何故、この地を選んだのか?古より山岳信仰の聖地・浄土として崇敬の地であった日光の歴史を紐解きながら、この土地の人々の暮らしにふれ、世界遺産の知られざる素顔を描き出します。
さらに日光は自然の宝庫。伝統を守る湯元温泉や湯葉、大谷川の清流と水車による昔ながらの線香づくりに出会います。
旅人は俳優・中本賢。父から譲り受けたクラシックカメラを手に、古より山岳信仰の聖地を旅します。