新・にほん風景遺産~故郷を見つめなおそう~

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盛岡・函館 北のハイカラ 街めぐり ~石川啄木 うたの風景~

2016年は、明治の天才詩人・歌人である石川啄木の生誕130年のメモリアルイヤー。啄木の故郷であり青春時代を過ごした岩手県盛岡市と、啄木が眠る北海道函館市、この2つの街を、開業したばかりの北海道新幹線で旅する。
岩手県の中部に位置する盛岡市は、南部藩20万石の城下町として発展。啄木は「美しい追憶の都」と表現した。今も城下町風情が息づき、明治のモダン建築が当時をしのばせる。市街を少し離れれば、美しき川、美しき山。啄木の詩歌の風景が広がっている。
1907年、故郷で代用教員として働いていた啄木だが、校長と対立して免職。生活に困り、一家の生計を担うため、新天地を求めて北海道・函館へと旅立つ。1859年に横浜や長崎とともに開港した函館は、関東以北で最もハイカラな近代都市だった。異国情緒漂う町並み、才能ある文学仲間との出会い、家族と過ごす穏やかな日々。「死ぬときは函館に行って死ぬ」と残すほど、啄木は函館を愛した。
石川啄木の足跡をたどり、盛岡から函館を旅するのは、作家・島田雅彦。明治時代に建てられたモダンな赤レンガの旧銀行や、川沿いに建つツタの絡まるクラシカルな喫茶店で啄木に思いをはせ、盛岡名物・わんこそばも堪能。また、酒蔵が営む風情ある酒屋の角打ち(もっきり)では、常連さんたちと啄木談義に花が咲く。そして、北海道新幹線で函館へ。家族水入らずで過ごした住居跡地や、明治に開かれた洋式公園、妻・節子が通った旧質店などを訪ね、啄木が函館を愛した理由に迫る。ほかにも、朝市や路面電車、日本初のロシア正教会など、啄木が愛した函館の魅力を余すことなく満喫する。