新・にほん風景遺産~故郷を見つめなおそう~

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大陸ロマンの港町 南薩摩坊津 ~海と歴史と十五夜まつり~

鹿児島県、薩摩半島の西南端に位置する南さつま市坊津。 海に迫る山が多く、50km以上にも及ぶ起伏の多いリアス式の海岸がひらけ、紺碧の海と風変わりな岩礁が織りなす雄大な景観が古くから人々を魅了してきました。

リアス式海岸の複雑な地形に守られた坊津は、天然の良港。古くから海上交通の要地として奈良時代には名僧、鑑真が上陸、その後は明や琉球との貿易により栄えました。しかし今は静かな漁村、おだやかな時間が流れます。

中秋の名月・十五夜、坊津では江戸時代から続くと伝わる行事が盛大に行われます。 行事の中心は住民たちによる綱引き。綱は地域住民たちが材料を集め、作り上げていきます。 行事の起原は定かではありませんが、綱は竜や蛇を表現しているともいわれ、蛇は脱皮して生まれ変わり、また月も満月と新月を繰り返す。蛇も月も、「死と再生」を繰り返していると考えられ、不老不死、ひいては健康祈願につながっているとも言われます。 「南薩摩の十五夜行事」として国の重要無形民俗文化財に指定されています。

南さつま坊津を旅するのは、俳優・石丸謙二郎。 坊津の人が正月より賑やかという十五夜行事に参加し人々の行事にかける熱い想いにふれます。また坊津の若手漁師がブランド化を目指す絶品のゴマサバも堪能、さらに魚市場や静かな漁港、和船の船大工などを訪ね、南さつまの豊穣の海や港町の歴史を辿ります。