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セーヌ川のほとりに佇む、芸術の殿堂・オルセー美術館に19世紀西洋絵画の常識を破った一枚の絵があります。美術館の中でも、最大級の大きさを誇る「オルナンの埋葬」。

ヨーロッパ中の美術界に大いなる衝撃と論争を巻き起こし、西洋絵画史の一大転機となった作品です。

この絵の作者は、ギュスターヴ・クールベ。西洋絵画の大きな流れとなる、レアリスム・写実主義のさきがけとなった画家です。

それまで絵画は、神話や宗教、王侯貴族の生活をテーマに、理想化された世界を描いてきました。
しかし、クールベが描いたのはありのままの現実でした。
お尻の大きな裸婦像や社会の底辺で苦しむ人々。社会を挑発するかのような過激な作品を描いたのです。
神や天使の夢物語ではなく、社会の現実に新たなテーマを見出したのです。

クールベは、スイス国境に近い、ジュラ山脈の麓にある小さな村、オルナンに生まれました。この地で、彼にしか描けないと言われる風景画の名作の数々を生み出していきます。

21歳でパリへ出たクールベは、社会的に物議を醸す作品を次々と残していきます。
1855年、クールベは、パリで開催されることとなった万国博覧会で、歴史画部門に出品した思い入れのある2作品「オルナンの埋葬」と「画家のアトリエ」の展示を拒否されてしまいます。
怒り心頭のクールベは、残りの全ての作品を引き上げ、万博会場近くに建物を建て自分の作品40数点を展示するという行動に出ました。世界初の個展と言われています。

この作品展で、クールベは、西洋美術史の流れを大きく変える言葉を発表しました。『現実を見よ! 生きた芸術をつくり出すことこれが私の目的である』
レアリスム・写実主義宣言です。 

絵画の伝統と闘い続けたクールベ。その人生はやがて、歴史の波に翻弄されていきます。
フランスからスイスへ。亡命を余儀なくされ、生きて再び、故郷の土を踏めなかった波乱の生涯!衝撃的な作品の数々に迫ります。


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